この記事をまとめると
■新車の開発には、一説では総額で1000億円の費用がかかるとされている
■高速化や安全対策の強化で試験のコストが上昇し、結果として新車価格は高くなる
■野放図な高性能の追求よりも程よい性能を永く使うクルマ利用の考え方も今後は求められる
開発費の増大が新車価格の上昇をもたらしている
新車開発の総額は約1000億円、新車開発での試作車には1台数億円の費用がかかるとされている。だが、自動車メーカーはいずれも明言しないので、実態はわからない。
もし1000億円の投資があったとすれば、販売価格300万円の新車を33万台以上売って、ようやく投資分は回収できる。それを1年でやり遂げようとするなら、月販2700台を売らなければならない。採算のあう月販台数が2000~3000台といわれる根拠は、そこからくるのだろう。
1台で数億円するといわれる試作車は、操縦安定性や乗り心地の確認のため実走行するために必要なだけでなく、衝突実験も行い、安全性が確認される。したがって、試作車を使った開発に依存すると、開発費がいくらあっても足りないことになる。
近年、新車価格が上昇傾向であるのも、衝突安全性能が星の数で評価され、満点を得るにはさまざまな安全装備を装着しなければならない。その効果を実験で評価するので、試作車の数が増加傾向にあるのも事実だろう。