名車の息吹を現代のクルマにも吹き込んでほしい!
2)マセラティ・ボーラ
MC20のデリバリーがついに始まったマセラティ。久々のスーパースポーツとして注目を集めつつ、新開発パワーユニットである「ネットゥーノ」こと3リッターV6ツインターボの有効活用には、リバイバル・ビジネスで名門復活の狼煙をもう1本、華々しく打ち出して欲しい。そこでスーパーカー世代には、当時のマセラティの最高峰で365BBやカウンタックにもスタイリングでヒケをとっていなかったイタリアン・エキゾチックの華、ボーラに再登場を願いたい。
オリジナルのボーラは4.7~4.9リッターのV8エンジンだったので、ネットゥーノは2気筒ほど足りないが、ツインターボ武装なので性能的には十分に足りるはず。それじゃ足もとを見られるようなら、2気筒を足すぐらいオフィチーネ・アルフィエーリ以来のエンジン屋であるマセラティにとっては、朝飯前のはず。
エレガンテ&リアルスポーツの雄で、いつの時代もちょっとマッチョなマセラティの、本調子となるはずだ。
3)ディーノ206GT
V6ツインターボのPHEVである296GTBの登場によって、スモール・フェラーリの系譜は従来のV8からV6に。というか、当初のディーノ206GTこそがスモール・フェラーリの祖型で、6気筒モデルの206GTは「フェラーリ」ではなく、エンツォ・フェラーリの夭逝した息子でV6ユニットを開発したアルフレディーノの名にちなんでいたのは有名な話。後継車種の308GT4が、モデルライフ途中よりフェラーリを名のるようになり、V8のスモール・フェラーリへと受け継がれた訳だ。
もちろんエンツォの息子からとられた「ディーノ」という看板はある意味「フェラーリ」より重いワケで、V6に戻ったからアリでしょ的な簡単な話ではない。しかし、今や296GTBのパワートレインが先述の復刻ストラトス(ディーノ246GTのV6はフィアット・ディーノ・スパイダーともども流用されたため兄弟車といわれた)にも利用される可能性が高い以上、由緒も血統も正しい新V6搭載でいて、あえて「フェラーリ」を名のらないで過去インスパイアな1台はあって然るべきだろう。
新しいV6・2992ccのF163ユニットは、往年のディーノV6の挟角65度に対して120度、かつバンク内ツインターボを装備し電気モーターと組み合わされ、システム総計は830馬力にも達する。エンジン単体では663馬力なので、IHIには申し訳ないがNA化したらちょうど良い出力に落ち着いてこないか?
206GTのほうを246GTよりも復活させたいのは、よりプロトタイプ寄りだった前者はアルミボディだったため、カーボンやチタンその他の素材でボディワーク冒険しても、エンジン縦置きでも、整合性がとれるだろうという理由。逆にいえば新時代を前に、ミッドシップ専用といえる折角のショートストローク&コンパクトなV6の再来は、ディーノ伝説をおさらいできる千載一遇のチャンスなのだ。