国産スポーツは高回転エンジンの宝庫!
S2000のライバルとして立ちはだかったのが、自然吸気のロータリーエンジンを積むマツダRX-8だった。「レネシス」と名付けられた13B系ロータリーエンジンは、6速MTを積むタイプSグレードに搭載された高回転仕様では、同じく9000rpmがレブリミットとなっていたのだ。
その13B-MSPエンジンのスペックは、最高出力250馬力/8500rpm、最大トルク22.0kg-m/5500rpm。数値でいってもS2000と遜色ないものだった。ちなみに、S2000のデビューは1999年、RX-8は2003年。2002年頃に排ガス規制に対応が難しいとして、280馬力のターボエンジンを載せたモデルが軒並み生産終了となる中で、スポーツカーは回してなんぼという価値観が再燃したのが2000年代だった。
排ガスや騒音といった環境規制が厳しくなっていく中で、超高回転エンジンが減ってきたのは仕方がない話ともいえる。
その意味では、2010年に生まれたレクサスLFAは、国産車として最後の9000rpm以上回るエンジンを持つスポーツカーになるといえるかもしれない。
超軽量・高強度なカーボンファイバーシャシーのLFA、そのフロントにはヤマハ発動機と共同開発した完全専用設計の4.8リッターV10自然吸気エンジン「1LR-GUE」が搭載されている。
大排気量になるほど高回転エンジンにするのは難しいというのが自動車業界の常識といえるが、このエンジンのレッドゾーンが9000rpmからとなっているのは驚異的だ。さらに驚くべきは、レブリミットはさらに上の領域にあり、9500rpm近くまで引っ張ることが可能になっている。まさに、不世出な国産・超高回転エンジンだ。
そのスペックは、最高出力552馬力/8700rpm、最大トルク480Nm/7000rpm。少なくとも7000rpm以上まで回さなければ、そのポテンシャルを引き出したとはいえないのだった。