修理費用を含めるとシエンタのほうが高くつくことも
一般的なミニバンを家庭などで使用したとしても、使い方次第ではリヤスライドドアの交換はそれほど珍しいことでもないという話も聞く。そう考えればシエンタの設計に問題があるわけではなく、そもそもタクシーとしての使用を想定していない車両をタクシーとして使用したことによるトラブルであり、過去にはプリウスでもタクシー使用を想定していなかったので、プリウスタクシーのトラブルが多発したという話を聞いたことがある。そう考えると、タクシー専用車として開発されることの大切さがわかる。
JPNタクシーより安く導入できるのが魅力的だったシエンタタクシーだが、修理費用を考えると、JPNタクシーを導入するのと“トントン”もしくは、かえって費用がかかるとの点でJPNタクシーが見直されてきているようなのである。
利用者からも、「車内の床がフラットで足もとスペースも広いので、旅行用スーツケースを荷室に積み込まずに、後席足もとにラクに載せることができるので便利」とのことで、タクシー乗り場で、あえてJPNタクシーを待つ人もいるようである。
「最近はBEV(バッテリー電気自動車)タクシーというものが注目されていますが、JPNタクシーでは、二次バッテリーの蓄電量を増やしたモデルの開発が進んでいるとの情報も入っております。最近のトヨタのハイブリッドシステムは以前にも増して“粘る”、つまりBEV(バッテリー電気自動車)モードでの走行距離が延びているので、今後はその傾向も反映させてくるかもしれません」(事情通)。
いまではタクシー専用車の名車とされているクラウン コンフォートだが、デビュー当初は「マークⅡベースとなっているので、クラウンセダンベースより乗り心地が悪くなった」とか、「背が高い不格好なセダンスタイルだ」などともいわれていた。JPNタクシーもある意味事業者や利用者から“見慣れた”存在となり、その評価が大きく変わろうとしているのかもしれない。