脱二酸化炭素に向けたエネルギー変換が求められている
情勢をまとめれば、そもそも石油製品の消費の減少があったところにコロナ禍が加わり、さらには世界的な脱二酸化炭素の行動が具体性を帯びたことで、産油国は石油製品の消費に慎重にならざるを得なくなったのだ。供給を抑えることで高止まりすることにより、収益を維持し、販売量の減少を補おうというわけである。企業が収益を保持しようとした際の当然の策である。
一方、脱二酸化炭素という道筋は明確でも、こちらも一朝一夕に石油製品の使用を止める訳にはいかず、経済的負担が高まっている。いっそうの省エネルギーを進めるとともに、一刻も早い脱二酸化炭素社会の形成を進めるしか対策はない。そのためには投資が必要であり、明確な将来目標を立て、先行投資することが景気回復の処方箋である。
クルマも、エンジン車からハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)へ可能な限り早く乗り換えることが自らの暮らしを守ることにつながる。
火力に依存する発電から、原子力と再生可能エネルギーによる発電への切り替えを明確に決めることも必要だ。それに際し、再生可能エネルギーの電力は高止まりする可能性がある。
一方、次世代原子力発電でもトリウム熔融塩炉は電気代を現在の5分の1ほどまで下げられる可能性がある。しかも、メルトダウンは起こさず、高レベル放射性廃棄物を処理することもできる。脱二酸化炭素と安価な電力の入手という一石二鳥の原子炉だ。
放射線の不安をただ漠然と感じるだけでなく、科学的根拠に基づいた原子力発電への認識を持たなければ、電動化を進めても、高価な電力で暮らしが経済的に圧迫されることになる。