この記事をまとめると
■ロールス・ロイスのクルマには美しい女性のフード・マスコットが置かれている
■正式名称は「スピリット・オブ・エクスタシー」
■由来や起源について解説する
正式名称は「スピリット・オブ・エクスタシー」
そこに佇んでいるだけで、思わずひれ伏してしまいそうなオーラを放っているキング・オブ・プレミアムカーといえば、やはり英国の長い歴史と誇りが息づくロールス・ロイスですよね。ファントム、ゴースト、ドーンと存在感あふれるモデルが日本でも走っていますが、ひときわ目を引くのがそのボンネット先端に置かれている、まるで妖精のような、女神のような、美しい女性のフード・マスコットです。翼を広げていることから、通称「フライング・レディ」と呼ばれていますが、本当の名前は「スピリット・オブ・エクスタシー」。この女性はいったい誰なのでしょうか? なぜ、ロールス・ロイスのボンネットに置かれているのでしょうか?
ロールス・ロイスは、チャールズ・スチュワート・ロールスとフレデリック・ヘンリー・ロイスとの出会いにより創設され、1904年に最初のモデルが登場していますが、1910年頃までのモデルには、決まったフード・マスコットは存在しませんでした。何もないモデルもあれば、英国国旗であるユニオンジャックをモチーフにしたフード・マスコットを置いているモデルもあり、オーナーが望めばオリジナルのデザインで製作していたようです。
それが1910年頃に、初期の自動車雑誌「The Car」の編集者として有名だった英国貴族のジョン・スコット・モンタギューが、自身の愛車だったシルヴァー・ゴーストに、ロールス・ロイスの内に秘めた高性能を表すようなフード・マスコットを装着しようと考えました。友人の彫刻家、チャールズ・サイクスが製作を担当することになり、過去に手がけていた「シルヴァー・ファンシー」という名の作品をもとにイメージを広げていったそう。そこに、ギリシャ神話の女神であるニケの翼をかけあわせて、さらに一説には、モンタギューの秘書を務めていた女性、エレノア・ヴェラスコ・ソートンをモデルとして完成させたと言われているのが、作品名「スピリット・オブ・エクスタシー」です。