「オールシーズン」=「オールマイティ」タイヤじゃない! 凍結路面はNGという知っておくべき事実 (2/2ページ)

オールシーズンタイヤが磐石ではないことを意識して運転すべき

 同様の路面状況は平地だけでなく、坂道でも起こる。そのため、登坂性能は暮らしに欠かせない。急な坂道の途中で登れなくなったら、滑りやすい路面で後退せざるを得ず、後続車と接触する危険さえ起りえる。

 以上のような厳しい冬の路面に対処したのがスタッドレスタイヤだ。その分、舗装路での走行性能や降雨時の排水性能に若干の弱点があるのは仕方がない。それでも、近年のスタッドレスタイヤは、そのまま高速道路の乾いた路面を走り続けることもできる。

 さて、非降雪地域でも、じつは雪が降らなくても路面が凍結することはある。路面の夜露が、晴れ渡った夜の冷気にさらされて凍るのだ。そうした場面で、スタッドレスタイヤなら徐行すれば走り抜けられるが、オールシーズンタイヤは雪への対処しかできていないので、凍結路面ではグリップの保障はない。非降雪地域の人は、タイヤが滑るのは雪だと思い込みがちだが、逆に凍結路面の可能性は気温が数度まで下がると高まるのである。

 圧雪路においてもスタッドレスタイヤほど高速での盤石なグリップの手ごたえはない。なんとなく進路が落ち着かないような走り方をする傾向にある。逆にそれがスピードの出し過ぎを抑える心理的効果にもなるが、スタッドレスタイヤのように万全とはいかないのがオールシーズンタイヤだ。雪道でも使えなくはないが、盤石ではないことを知っておく必要がある。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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