積極的にリヤに駆動を配分するヴェゼルは操縦性が難しい!
次にテストしたのがヴェゼル。FFベースのシリーズ・ハイブリットという点ではフィットと同じだが、AWDシステムは異なる。SUVということもあり、より重い車重にも耐えられるリアルタイムAWDを採用している。メカニズム的には、ビスカスカップリングではなく、湿式多板油圧クラッチを電子制御で動かすタイプで、メリットはタイヤが滑ってからトルクを伝えるオンデマンド式ではなく、積極的にトルクをリヤに伝えることが可能だ。ゆえに、リアルタイムという名前がつく。この方式はCVにも使われており、グローバルに見るとホンダの主力システムだ。
最近はホンダのヴェゼルを町なかでもよくみる。とくに郊外にドライブに行くほど、ヴェゼル比率は高い。きっとユーザーはコロナ禍において、家族と安心してドライブしているのだろうと想像する。サイズ的にもあまり大きくなく、それでいてSUVとしての風格もある。パワートレインはシリーズ・ハイブリットなのでモーターで走るEV風の新しい感覚だ。カーナビも使いやすいし、レベル2相当の運転支援も使いやすい。
気になるのはSUVとしての四駆性能だ。と思っていた矢先、ヴェゼルの雪道テストができると聞いて、木曽福島まで乗り込んだのだ。
その第一印象は、フィットよりも力強い走りが可能だと言いたいが、エンジンパワーがもう少し欲しい。というのは、モーターへの電力はエンジンから供給されるので、100kWくらいのエンジンパワーがほしいと思った。
また、トルク配分はリヤのトルクをあまり大きくするとコーナーの立ち上がりで、プッシュアンダーステアとなりやすい。テストした路面特有の問題なのかわからないが、もっと、フロントタイヤで引っ張ったほうが、乗りやすいのではないだろうか。
ヴェゼルのサスはマイルドなので、タイヤと路面の接地感は合格だが、ややバネ上のボディの動きが大きかった。今回はラリーコースのような厳しい走行条件だったので、より完璧な操縦性が求められたが、標準的な雪道なら誰が乗っても安心して走ることができると思う。