原油価格の高騰にはウクライナ情勢も影響
資源エネルギー庁の試算を信用するならば、2月14日のガソリン平均価格は171.4円/Lだったが、補助金がなかったら175.2円/Lに上昇していたはずだという。さらにいえば、その翌週は177.0円/Lまで上昇すると見込まれているのだ。
その背景には、世界的な原油価格の高騰がある。ドバイ原油価格は1月第三週が62.6円/Lだったのに対して、2月第二週が66.2円/Lまで上がっているのだ。当然、この計算は円建てゆえに為替の影響も考慮した上で、こうした高騰になっている。
2021年の最終週では52.7円/Lだったことを考えると、25%以上も高くなっている。残念ながら、リッター当たり5円の補助金では、高騰を抑えることはできない状況になっている。
原油価格の高騰には、ロシアによるウクライナ侵攻も大きく影響している。ロシアが動いた2月24日にはドバイ原油価格が1バレル100ドルに届かんとしたことがニュースとなった。前述した円建て換算でいうと71.9円/Lとなる。昔から「有事の原油買い」と言われるが、まさにウクライナに対するロシアの動きが、さらに原油高騰につながっているのだ。
かつては「有事の円買い」といわれ、こうした状況では円高傾向になって円建てでの輸入品価格は抑制されたものだが、もはや日本円にそれだけの価値やパワーはなくなっている。いまや「有事の円売り」という言葉さえ使われるほどで、円安傾向は続いている。
つまり円建てでの原油価格が下がる要素は見当たらず、このままではガソリン価格抑制補助金が焼け石に水となってしまう。国内向けに補助金を出すと同時に、円高に誘導するような政策がなければ、この情勢下においてガソリン価格を抑えることは難しいだろう。