本格的オフロードマシンも選べるが維持には苦労するかもしれない
カイエン同様にV8エンジンを積んだSUVであり、クロスカントリー性能も高い本格派モデルとして注目したいのが、ランドローバー・ディスカバリーだ。300万円の予算感で考えると、1999年~2005年に販売された「シリーズII」と呼ばれる2代目モデルがターゲットとなる。
ローバ―伝統の4リッターV8エンジンに前後リジッドサス、ローレンジとデフロックを備えた4WDシステムといったメカニズムは、まさに本気のクロカンモデルといった様相。考えてみれば、このモデルがデビューしたころは、まだまだSUVというのはナンパな存在で、こうした本格クロカンモデルこそ正統派という時代だった。
まさに、その時代の硬派な走りを楽しめるのがディスカバリーの魅力だ。中古車相場としては後期型が300万円で十分に射程圏内、前期型であれば200万円以下で個体を見つけることができる。ただし、カイエン同様にメンテナンスと自動車税の負担はそれなりのものとなるので、車両価格だけに着目するのではなく、維持できるかどうかをしっかりシミュレーションしてから購入検討したい。
さすがに、20年前のクルマは勘弁してほしいけれど、300万円以下の手頃な価格の輸入SUVが欲しいというユーザーにおすすめなのは、ジープ・ラングラーだろう。もちろん現行型の中古車を300万円で見つけるのは難しいが、ひと世代前のJK型であれば300万円の予算で十分に見つけてくることができる。
ラングラーとしては3代目にあたるJK型の日本導入開始は2007年だが、最終型は2018年となるから、そのルックスはそれほど古く感じない。もっとも、ジープの象徴的モデルであるラングラーは、伝統的な定番モデルとなっていることもあって、そもそも古くならないデザインともいえるのだが……。
ラングラーで面白いのは年式だけで価格が決まらないことで、高年式であってもグレードによっては中古車価格が抑えられているし、低年式でも距離が伸びていなければ相場なりの価格をつけている傾向にある。いずれにしても、極端に走行距離が伸びていてワイルドに使われていたであろう個体と、都市型SUV的に大事に乗られていた個体があるので、そのあたりも注意して中古車選びをするといいだろう。
もっと高年式で300万円の予算で狙える輸入SUVとなるとかなり選択肢が狭まる。全般的に新車価格が高めのジャンルであり、数年落ちで300万円を切るようなモデルは少ない。その中で、手頃な価格で見つけられるのがフィアット500Xだ。
そもそも新車価格が320~360万円という価格帯なので当然だが、2年落ち・走行1万km以下といった個体を250万円前後で見つけることができる。これだけ高年式であれば、大きなトラブルによって費用のかかるメンテナンスといった心配もずいぶん少なくなるし、そもそも500Xは搭載エンジンの排気量が1.5リッター以下となっているため、自動車税などの維持費の面でも負担は軽い。
そんな500Xの中でもおすすめしたいのは、前中期モデルに存在していた9速ATを備えたフルタイム4WDグレード。ワイドレンジすぎるATは、日本の法定速度内では使い切れないほどだが、変速もスムースでトルコンATらしい余裕も感じさせるパワートレインだ。もはや新車には用意されないだけに、中古車で探して乗りたいグレードといえる。