「R33GT-Rは失敗作」なんて言われている理由とは
同様に、初代が売れたといえるのは第二世代のスカイラインGT-Rだ。スカイラインGT-Rとしては3代目であり、第二世代では初代的な位置づけとなるBNR32型スカイラインGT-Rが誕生したのは、ロードスターと同じく1989年。280馬力の2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジン、トルクスプリット型4WD「アテーサE-TS」を積んだパワートレインはインパクトが大きかった。
さらに日本経済もバブル崩壊前で若者も高額ローンを組みやすかったこともあって、BNR32は売れに売れた。累計生産台数は約4.3万台。日本専用モデルとは思えないほどだ。実際、その後のスカイラインGT-RはBCNR33が約1.6万台、BNR34が約1.1万台と日本経済の状況に合わせるかのように減っている。
そうした販売減について「実質的な2代目がダメだったからだ」という声もあるわけだが、メカニズムを見比べてみるとBCNR33ではアテーサE-TSも進化しているし、トラブルの芽を摘むように後輪の操舵機構も変わっているのは、ファンの方ならご存じのとおりだ。
メカニズムとしてBCNR33が劣っていたわけではないといえる。ただし、正常進化であるゆえの課題として、BNR32が登場したときほどのインパクトがなかったのも事実だ。280馬力自主規制によってエンジンが進化していることを数字で表現できなかったという時代背景は無視できないが……。
売れた売れないのは話もあるが、結論としては「初代は良かったシンドローム」の原因は、初代が登場したときのインパクトの大きさにあると考える。その意味では、初代が素晴らしいモデルだったと評価するのは「昔は良かった」的な懐古主義ではなく、新しいコンセプトやテクノロジーに初めて触れたときの「刷り込み」のような現象に近いといえる。
そうだとすれば、当時を知らない世代が、先輩世代の言い分を真に受ける必要はない。どんなモデルであっても、最初のインパクトが強いのは当然だが、自動車という工業製品はモデルを重ねるごとに進化するものでもあるからだ。
いずれにしても、好きなクルマに乗るのがクルマ好きとしては最高の幸せになるはずだ。そのときに周囲の声を気にする必要はない。自分が好きと思ったモデルを、好みのスタイルで乗ることで、カーライフを楽しんでほしい。