19世紀末までは内燃機関車よりも電気自動車が人気だった
バウマン博士はそこから、バッテリーが今日まで高度な進化を遂げたことを指摘する。市販品に応用できるリチウムイオンバッテリーのブレイクスルーは1978年と比較的新しく、ジョン・B・グッドイナフ博士と水島公一博士の功績であることにも触れている。
その一方で電動化モビリティの祖型となる出来事は1821年、英国の自然哲学者マイケル・ファラデーが、電磁回転装置を発明したことだった。電流の流れで生じた磁場を帯びた針金が、固定磁石の周りを回転する仕組みは、もちろん今日の電気モーターに繋がっている。
博士によれば、19世紀末までは電気自動車の方が、内燃機関の自動車の2倍のシェアをもつほど優勢だったという。1888年にはドイツ人発明家のアンドレアス・フロッケンがコブルクで、4輪モーター駆動による自動車を発表していた。しかし、自動車産業と石油産業、政治やメディア、ユーザーの連鎖的反応によって、EVは勢いを得ることができず、内燃機関に変わられてしまった。こうした発明と歩みが1世紀以上もの間、放っておかれたのは「クレイジー」とすら述べている。
水素を動力源とすると約80%のエネルギーが失われ、純BEVによる動力源も約30%のエネルギーしか走行に転換できていないという。一方で欧州である調査によれば、新車購買層の40%が、EVを前向きに検討するというデータがある。だからこそバッテリー・エネルギーのよりスマートな制御管理が必要である、というのだ。
誰が正気を保っているか、答えの出る日はそのうち来るのだろうか?