欧州ブランドのレストアサービスはパフォーマンスの一環でもある
しかも、メーカー自らが行うということは、いわばお墨付きになるわけで、認定中古車同様に高めのプライスを掲げても納得する人が多いはずだ。
ただ、現在1971年式シトロエンGSを所有する自分は、メーカーが手がけるから素晴らしいという考えは持っていない。
国内外問わず、長年クラシックモデルの面倒を見てきたショップはいくつもあり、並外れた知識と技術を備えている。いくらメーカーの看板を掲げているからといって、最近生まれた組織がそれを上まわるとは断言できない。
さらに言えば、自分のGSは半世紀走り続けた年輪が随所に刻まれているけれど、それも魅力だと思っている。50歳の人が50歳なりの素敵な姿を目指すか、若い頃の姿を取り戻すかの違いだ。僕は人もクルマも無理に若作りしたいとは思わない。
たぶん欧州のプレミアムブランドのレストアサービスは、こうした事情を知らない富裕層を相手にしていると思う。旧いクルマは素敵、予算はいくらでもある、でも付き合い方がわからないという人に対して、すべて面倒を見ますというコンシェルジュ的な存在に感じられる。
おもてなしが得意であるはずの日本のメーカーがこの分野に進出するのは、前に書いた理由から難しい。でもメーカー純正のレストアサービスこそ最高というクルマ社会にはなってほしくない。これが1オーナーとしての気持ちだ。