まぎれもない怪物スーパーカー! 衝撃の7リッターターボを積む「サリーンS7」という衝撃作 (2/2ページ)

最終モデルの最高出力はツインターボ化で750馬力に

 この2005年にはサリーンのS7そのものにもマイナーチェンジが行われている。ミッドに搭載されていた7リッターのV型8気筒OHVエンジンには、新たにギャレット社との共同開発によるツインターボシステムが組み合わされ、0.35バールという最大過給圧が設定される標準仕様の場合、その最高出力は750馬力にも達することになった。組み合わせられるミッションは6速MT。

 また、この時のマイナーチェンジでは、カーボン製のエクステリアパーツにも積極的な改良が施され、ダウンフォースは前作と比較して60%も高められたと当時のリリースにはある。エクステリアには、とくに過激な造形の空力的な付加物は見当たらないが、これはS7が走行中のダウフォースのほとんどをボディ下面のヴェンチュリートンネルで得るデザインを採用しているからにほかならない。

 ちなみにこのS7の基本構造体となっているのは、クロームモリブデン鋼で成型されたスペースフレーム。すでにこの時代、カーボンモノコックを使用するスーパースポーツも多く見られるようになってきたが、サリーンはFIA-GTの車両規定を考慮してクロモリのスペースフレームを選択したのだ。当時のGT-1クラスにはマセラティからMC12もエントリーしていたが、MC12はFIAの特例措置によって参加が可能になった例外的な存在だった。

 軽いバタフライ式のドアをオープンすると、そこに広がるのは豪華なレザー素材を惜しみなく使用した2シーターキャビン。もちろんカスタマーのリクエストによっては、レーシーな雰囲気のキャビンをオーダーすることも可能だが、シートやペダルなどには一切のアジャスト機能はない。これはオーナー個人の体型にのみ合わせた特別な一台であることを物語る、サリーンからのメッセージともいえる。

 サリーンS7、それはアメリカが生んだ紛れもないスーパーカー、いやハイパーカーにほかならない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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