最終モデルの最高出力はツインターボ化で750馬力に
この2005年にはサリーンのS7そのものにもマイナーチェンジが行われている。ミッドに搭載されていた7リッターのV型8気筒OHVエンジンには、新たにギャレット社との共同開発によるツインターボシステムが組み合わされ、0.35バールという最大過給圧が設定される標準仕様の場合、その最高出力は750馬力にも達することになった。組み合わせられるミッションは6速MT。
また、この時のマイナーチェンジでは、カーボン製のエクステリアパーツにも積極的な改良が施され、ダウンフォースは前作と比較して60%も高められたと当時のリリースにはある。エクステリアには、とくに過激な造形の空力的な付加物は見当たらないが、これはS7が走行中のダウフォースのほとんどをボディ下面のヴェンチュリートンネルで得るデザインを採用しているからにほかならない。
ちなみにこのS7の基本構造体となっているのは、クロームモリブデン鋼で成型されたスペースフレーム。すでにこの時代、カーボンモノコックを使用するスーパースポーツも多く見られるようになってきたが、サリーンはFIA-GTの車両規定を考慮してクロモリのスペースフレームを選択したのだ。当時のGT-1クラスにはマセラティからMC12もエントリーしていたが、MC12はFIAの特例措置によって参加が可能になった例外的な存在だった。
軽いバタフライ式のドアをオープンすると、そこに広がるのは豪華なレザー素材を惜しみなく使用した2シーターキャビン。もちろんカスタマーのリクエストによっては、レーシーな雰囲気のキャビンをオーダーすることも可能だが、シートやペダルなどには一切のアジャスト機能はない。これはオーナー個人の体型にのみ合わせた特別な一台であることを物語る、サリーンからのメッセージともいえる。
サリーンS7、それはアメリカが生んだ紛れもないスーパーカー、いやハイパーカーにほかならない。