「カーガイ」としてレースに積極的に参加する豊田章男社長
具体例を見てみると、モータースポーツ基点で現存している主なメーカーは、フェラーリ、マクラーレン、ロータスである。レーシングドライバーとして実績と腕前では、ブルース・マクラーレンが群を抜いているが、若くして亡くなっているため、ブルース・マクラーレンは量産車メーカーとしてのマクラーレンに直接関与していない。
チューニング系では、シェルビーやサリーンなどがあるが、ともに創業者はレーシングドライバーだが、レースチーム監督としてのイメージが強い。
一方、生産台数が多い大手メーカーでのカーガイといえば、トヨタの豊田章男社長が筆頭だ。スーパー耐久やニュルブルクリンク24時間レースなどに参戦すると同時に、量産車開発でのマスタードライバーも務める。
「もっと良いクルマ作り」というトヨタグループ全体でのスローガンを、自らが現場で体感することで、グループ内社員はもとより、ディーラーやユーザーに対する”社長の本音”として伝わる。
過酷な日常業務の中で、レース参戦することは、肉体的にも精神的にも大きな負担であるはずだ。それでもモータースポーツに挑戦し続ける姿勢が、さまざまな意味での「トヨタの強味」に直結しているのだと思う。