じつはほとんどの車種で「純ガソリン車」が選べる! 国産8メーカーの「脱エンジン」事情 (2/2ページ)

スズキにも5車種に非ガソリンエンジン車がある

 トヨタの場合、ハイブリッド専用車が「アクア」と「プリウス」、「カムリ」そして「センチュリー」となっている。プラグインハイブリッド専用なのが「プリウスPHV」で、ご存知のように燃料電池専用車が「MIRAI」だ。そして、今回はガソリンエンジン車ということなので、ディーゼルエンジン専用の「グランエース」も除いてみた。なおピックアップのハイラックスもディーゼルしか設定していないが、今回は“乗用車”という条件なのでカウントから外している。

 レクサスについてはハイブリッド専用となっているのが「ES」と「CT」で、それ以外にはガソリンエンジン車の設定がある。とはいえ電気自動車グレードを用意する「UX」をはじめ、ほとんどの車種で電動化が進んでいるのも事実だ。

 日産は電気自動車に積極的かつ、『e-POWER』と名付けたハイブリッドの展開にも積極的なため国内ラインアップの3割近くが電動専用モデルだ。電気自動車が「リーフ」と「アリア」、e-POWER専用モデルが「ノート」、「ノートオーラ」、「キックス」となっている。

 ホンダでは『e:HEV』と呼ぶハイブリッドを軽自動車以外に広く展開しているが、ハイブリッド専用モデルは少ない。ハイブリッド専用だった「レジェンド」はラインアップ落ちしているし「NSX」も実質的に販売終了ということで対象外とした。e:HEV専用モデルとなっているのが「アコード」と「インサイト」のセダンモデル、そして電気自動車「Honda e」の3台を除くラインアップにはガソリンエンジン車を設定していることになる。ただし「ヴェゼル」のようにエントリーグレードのみガソリンエンジン車を設定しているなど選択肢は徐々に狭まりつつある印象だ。

 電動化のイメージが薄いかもしれないスズキに5車種も非ガソリンエンジン車があるというのは意外かもしれないが、スズキは軽自動車にマイルドハイブリッドを積極的に展開している。その成果は、国内における軽自動車全体における電動化比率を引き上げることに貢献している。そんなスズキでマイルドハイブリッド専用となっているのは「スペーシア」、「ハスラー」、「イグニス」、「クロスビー」で、じつは日産セレナのOEM「ランディ」もマイルドハイブリッドだけの設定となっている。

 純粋な電気自動車グレードを「MX-30」に設定しているマツダのラインアップでは、そのMX-30を除いた全モデルにガソリンエンジン車を設定している。MX-30の非EVモデルはガソリンエンジン車のようでマイルドハイブリッドなのだ。そのマイルドハイブリッドについても積極的に展開しており、e-SKYACTIV-Gとe-SKYACTIV-Xという2種類のパワートレインを用意している。

 プラグインハイブリッド専用の「アウトランダーPHEV」のイメージが強い三菱自動車だが、ラインアップ全体を眺めてみると、ほとんどのモデルがガソリンエンジン中心のグレード構成となっている。電動車としては「エクリプスクロスPHEV」があるくらいだ。なお、今回はガソリンエンジン車限定ということでディーゼルしか用意していない「デリカD:5」をガソリンエンジン未設定と数えている点は、あしからずだ。

 最近、「ロッキー」にエンジンで発電するタイプの『eSMARTハイブリッド』を追加したダイハツのラインアップでは、ほぼ全車にガソリンエンジン車が用意されている。唯一、ハイブリッド専用となっているのが「アルティス」だが、これはトヨタ・カムリのOEM車だ。

 ハイブリッドの名前さえ使っていないのがSUBARUだ。実際にはマイルドハイブリッドは採用しているが、『e-BOXER』という名称を使っていることもあって、電動化にもっとも遠い印象もあるかもしれない。そんなSUBARUだが、2022年中には純粋な電気自動車「ソルテラ」を発売することは既定路線。ガソリンエンジンどころか、エンジンを積まないSUBARU車は増えていくのだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報