10人を輸送するクルマは思ったよりも乗り心地がいい!?
もう一台の「96式装輪装甲人員輸送車」は、1996年に制式採用された10人乗りの8輪重装甲車で、被災地などへ隊員を災害派遣する際などに広く用いられている。
8輪にコンバットタイヤ(展示車両は11.00R20のブリヂストンW978コンバット(スノー(スタッドレス)タイヤ)を装着)を装着。全長×全幅×全高=約6.8×約2.5×約1.8mと「NBC偵察車」ほどではないものの大柄な車体だが、100km/hまで加速させることができる。製作は小松製作所が担当しており、展示車両の底部を覗いた限りではシャシー構造は「NBC偵察車」とほぼ同様に見受けられた。
展示車両が配備されている陸上自衛隊第3戦車大隊本部本部管理中隊隊員の方に、その走りの印象を伺うと、「一般的なクルマよりもタイヤが重いためステアリングを切りづらいとは思いますが、幅が広いこと以外は運転が難しいということはありません。乗り心地は、乗用車に比べればもちろん悪いですが、サスペンションが効いているので、不快に感じることはないですね」とのこと。被災地などでの過酷な任務に備えて体力を温存できるよう、快適性にも配慮して作られているようだ。
今回展示された2台は、万が一戦争になった場合の備えというだけではなく、天災や人災、テロなどの有事にも用いられている、とても身近な存在と言えるだろう。