このワゴンRに普段から乗っているというからスゴい!
「ワゴンRをガルウイング化するキットは15年ぐらい前かな、かなり流行ったんですよ。前席ドアはそれを使っていますが、リヤはワンオフでヒンジを作ってもらったんです」
フツーなら水平方向に開閉するヒンジを、ただ上下に回転させるヒンジに変えるだけではない。そのまま上下回転させたらフェンダーやピラーのパネルに当たるので、逃げの角度が出来る程度に水平スライドさせてから、上にハネ上げなければいけない。そこをダンパーで支えているワケだ。
閉める時は逆に、ドアを下ろしてから、逃げの角度分を水平に押し込む。ドアキャッチはノーマルそのまま。とはいえ車検時には通常開閉に戻すため、ヒンジは溶接ではなくボルトオンになっている。
「カスタムカーでも普段から乗れないとツマらないじゃないですか」
車検を通すのが面倒で、カスタムのベース車両に対してはドライなオーナーも少なくはない。でもツチヤさんはもう10数年、28万円で手に入れたワゴンRにその10倍以上のカスタム予算をつぎ込んで、大事に乗っている。
推しのアイドルが令和にアップデートされているものの、「その昔に流行ったスポコン(スポーツコンパクト)ってスタイルなんです。ほら、フェンダー自体がオバフェンですけど、ここのフェンダースポイラーとかが、それっぽい。だからちょっとレトロなカスタムなんです」
ちょこっとづつ手を加えてきて、気分としてはハタチの男の子がやるようなイメージのクルマになったと、62歳のツチヤさんは苦笑いする。そう、彼にとっては、免許取り立てのハタチの頃の気分に戻れる一台なのだ。