レクサス初のミニバンLMとは? 最高級モデルのプレミア度は期待以上? (2/2ページ)

日本と同じ? 違う? 海外におけるミニバンの捉え方

・“特別なモノ”がステータスを満たす中国

 ひとえにミニバンといいますが、活用方法や利用シーンは日本と海外で同じだったり異なったりしています。

 レクサスLMが披露目された中国ですが、日本同様、ミニバンの人気は高く価格が安い日本でいうところのスズキ・ソリオ的な小型ミニバンから、富裕層が好むラージサイズミニバンまで多彩なモデルが揃い市場での注目を集めています。

 レクサスLMが発表される以前もアルファードの人気が高く、同じラグジュアリーミニバンを同国で高い人気を誇るGMなども同ジャンルにモデルを投入しています。

 ただ、ミニバンに限りませんが中国のユーザー、とくに富裕層は「特別なモノ」を好む傾向にあるのが特徴。

 どういうことかというと、中国で販売されるメルセデス・ベンツやBMW、アウディなどのプレミアムセダンにはロングホイールベース仕様を用意するモデルが多いのですが、これは本国では販売されない中国独自の仕様が大半です。

 標準仕様と比べ後席の足元空間が広くなるだけでなく、中国独自に開発されたモデルだからとステイタスを満たすことが人気の理由だといいます。

 元々はトヨタ・クラウンがロングホイールベース仕様を広めたのですが、いまやメルセデス・ベンツCクラスまで同仕様が用意されるほどになりました。

 レクサスLMも「日本では販売されてなく、中国で最初に発表した」ことが中国人富裕層のステイタスを満たしていることは間違いありません。

・人と同じモノが欲しくなるインドネシアのお金持ち

 ただ、同じアジアの富裕層でもインドネシアではその思考が異なります。
同国でもミニバンは人気を集めており、国産メーカーが東南アジア向けモデルをこぞって投入しています。大家族で生活していることで多人数が乗車できることが人気を集める要因なのですが、インドネシアの富裕層からもアルファードが「成功の証」とも言われるほど憧れを抱かれています。

 私も以前、インドネシアの首都ジャカルタにある中古車販売店に日本から中古車を輸出するために訪れたバイヤーとともに同行しましたが、現地スタッフはバイヤーが持参したアルファードの仕様書を手にすると、走行距離や年式を気にするわけもなくグレードや人気の装備が装着された中古車があると「この車両を買う」「これも買う」と次々に購入するための契約をしていきました。

 インドネシアに日本から中古車を輸入した場合、関税がかかるため中古のアルファードでも日本円で1000万円を超えてしまうのですがそれでも富裕層からのニーズが高いため1台でも多く購入したいと現地販売業者は細かい箇所は気にせず購入を決めるのです。

 ただ、インドネシアの富裕層は中国とは違い特別なモノかどうかにこだわらず、むしろ隣の金持ちがアルファードを購入したら隣に負けないように(?)と同じクルマを入手する傾向があるのだとのこと。

 一人の金持ちがアルファードを購入したら次々と他の金持ちも購入し続けるとなると、そりゃあ同国で人気車種になりますね。

・タイでは「ミニバン=トランスポーター」

 東南アジアの雄、タイの富裕層もアルファードに憧れを抱くといいますが、そもそも日本からの中古車を輸入できない国のため町で見かける機会は多くありません。

 また多くのユーザーにとってミニバンとは多人数が乗れるトランスポーターとしてイメージされているようです。同国にとってミニバンとは商用ユースやVIPの送迎に用いられる車両だからです。

 そのためトヨタがタイで販売するラグジュアリーミニバンといえばハイエースベースのマジェスティ。7人乗りではなく10名乗りのマジェスティはファミリー層ではなく社用車としてのニーズをターゲットに投入されました。

 一般ユーザーからの人気は圧倒的にSUV、とくに7人乗れる3列シートを備えたSUVが支持されていますがこれは2011年に起こった大水害を機に、道路に水が溢れても走行できる車高が高いクルマをユーザーが選ぶようになったことが要因です。

 余談となりますが、インドでは首都ニューデリーの街中でもメルセデス・ベンツなどの高級車を見る機会が少ないのですが、これは同国の富裕層が高級車を買うとお金持ちとみなされ所得税を払わなければいけないため高級車のニーズが少ないのだそうです。

 そのため同国では高級ミニバンにあまり需要がなく小型で7人乗りのMPVが人気を集めます。

国内導入はある? ない??

 富裕層だけでなく、官庁や地方自治体などでもショーファーカーとして使われることが多いアルファードだけに、日本国内でも少なからず需要がありそうなレクサスLM。並行輸入で少量が国内に入ってきているようですが、国内での販売はあるのでしょうか。

 その答えはトヨタだけが知っている…となるのでしょうが、実際問題、アルファードの次期モデルの噂がちらほら出てきている現時点において国内販売される可能性は少ないでしょう。

 ただ、時期アルファードの登場に合わせ国内向けのレクサスLMが用意される可能性は大おいにあると予想します。
噂では兄弟車であったヴェルファイアが次期モデルには存在せず整理されるようですし、新たなラインナップを揃えるには上級モデルであるレクサス版を用意するのは必然かなと。

 ただ、国内で販売されるレクサスLMに国内でのニーズが少ない2列シート4名乗りが用意されることはないでしょう。

 アルファードの上級仕様として内外装を整えレクサスブランドにふさわしいラグジュアリー化したミニバンがレクサスLMとして用意されると筆者は予想します。


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