GMの血統を受け継ぐ新興メーカーとして注目される
ヴィングループは、創業者のファム・ニャット・プオン氏が1993年にウクライナで始めた食品関連業が出発点だ。2000年代になると、ベトナムでの大規模遊園地事業の成功を契機に不動産事業を拡大すると同時に、通信などIT関連事業へも投資を拡大した。そうした中で、旧GMベトナム事業を継承する形で2018年に設立された自動車メーカーが、ヴィンファストだ。初代社長にはGMの元副社長を就任させ、またエンジニアやデザイナーなど世界各国の自動車メーカーから抜擢した。ヴィンファストでは現在、ガソリンエンジン車を主体としたモデルラインアップだ。
だが、世界最大級のテクノロジー展示会「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー2022」(2022年1月3日~7日:米ネバダ州ラスベガスコンベンションセンター)で、2025年以降は完全EVメーカーに転じることを明らかにしている。ヴィンファストとしては、グローバルでのEVシフトを追い風として、GMなど大手メーカーとの連携を下地として、EVシフトのゲームチェンジャーになろうとしているようだ。
アメリカ市場での出展が目出す背景には、ニューヨーク株式市場での上場を計画しているという見方が強い。上場により企業としての資産価値を高めて、EVシフトに向けた積極的な投資を行う心づもりなのだろう。ただし、EVそのものに関する商品の信頼性や品質などについては不明な部分が残っており、その実力はこれから徐々に証明されていくことになる。
東南アジアの自動車メーカーといえば、マレーシアのプロトンやプロドゥアがあるが、ともに国が主導して日本メーカーと技術連携して実力を高めていった企業だ。ヴィンファストも、ベトナム政府とGMなどがどのような連携体制を維持していくかが、今後の成長のカギとなるだろう。