お金があっても権利なし! フェラーリの頂点「ワンオフモデル」を作ってもらうための「果てしない」道のりとは (2/2ページ)

ワンオフモデル製作はフェラーリから選ばれた者のみが可能となる

 そして、フェラーリの頂点にあるのが、カスタマーからフェラーリにワンオフモデルの製作を依頼するという、これ以上の贅沢はないプログラムだ。もちろんオーダーをできるのは、フェラーリから選ばれし者のなかからさらに選ばれた人物であることは言うまでもない。

 ワンオフであるから、それは将来的に再び生産されることはないという約束が両者の間で交わされるのはもちろんのこと、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリのデザインチームとカスタマーは、何回にもわたってデザインに関してのディスカッションを重ねるという。

 ここから先はあくまでも予想でしかないが、フェラーリのデザインチームでは、あらかじめワンオフのオーダーに対応するための原案をいくつか用意しているという話もあるし、また、カスタマーのアイディアをもとにまったく新しい発想を得ることもあるという。たとえば過去の歴史を彩ったフェラーリの現代版。あるいは映画や芸術品の中でのフェラーリ。カスタマーの要求はさまざまだが、これまでにフェラーリがその夢を現実とすることを諦めたことはない。

 ちなみにこのワンオフ・プロジェクトから誕生した第一号車は、日本の著名なコレクターがオーダーした「SP1」で、何と氏はオリジナルのカタログまで製作している。

 興味深いのは、やはりワンオフ製作のために必要な費用だろうか。これもあくまで想像上の話だが、それは数億円という単位になるという噂である。

 フェラーリのワンオフ製作に至るまでの長い道。それに並ぶことができるだけでも、大きな時間と資金が必要になることが、少しはイメージできただろうか。そのプロジェクトがスタートして10年、その最新作は日本仕様からラインオフした「GTC4ルッソ」のプラットフォームをベースとした2シーターV12クーペの「BR20」。じつに素晴らしいフィニッシュを感じさせる一台である。

 まずはプロダクションモデルのフェラーリを何台も購入し、そして限定モデルを購入することができる権利を手に入れ、そしてさらなる信頼を得れば、もしかしたらフェラーリから「ワンオフモデルを作らないか」との問い合わせがあるかもしれない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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