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お金があっても権利なし! フェラーリの頂点「ワンオフモデル」を作ってもらうための「果てしない」道のりとは (2/2ページ)

お金があっても権利なし! フェラーリの頂点「ワンオフモデル」を作ってもらうための「果てしない」道のりとは

この記事をまとめると

フェラーリにはブランドの頂点に君臨するワンオフモデルが存在する

■ワンオフモデル製作は顧客ヒエラルキーの頂点にいるVIPにオファーが来るらしい

■VIPになるにはプロダクションモデルやスペチアーレを何台も購入する必要がある

じつは多くのラインアップを有しているフェラーリ

 今回は、フェラーリのモデルラインアップの頂点に位置する「ワンオフモデル」の話をしようと思う。その前に、まずはフェラーリが生産するモデルのピラミッドの解説から。ここ最近モデルラインアップを急速に拡大しているフェラーリだけに、ここを一度整理しないと、頂点たるワンオフモデルにたどり着くことも難しくなる。

 まずは誰もがお金を用意して、納車の順番を待てば購入することができる、いわゆるプロダクションモデルといえるのが、日本仕様においては3リッターのV6エンジンをミッドに搭載する「296GTB」、3.9リッターのV8エンジンがフロントに搭載される2+2GTの「ポルトフィーノM」、同エンジンを使用するやはりFRの「ローマ」、さらにその3.9リッターV8エンジンを100馬力強化してミッドに搭載する「F8トリブート」で、ここまではすべてツインターボ仕様。さらに4リッターのV8ツインターボエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせた「SF90」が780馬力で用意され、ここまでがV6&V8シリーズとなる。

 一方、伝統のV12モデルは、そのライフタイムも残りわずかと噂される「812」が6.5リッターのV12自然吸気エンジンを搭載してラインアップされているのみ。さらに、クーペやオープン、右/左ハンドルの選択などが可能なモデルもあるので、プロダクションモデルのラインアップは驚くほどに幅広いというのが第一印象だ。

 しかもこれに、たとえばV8ミッドシップならばシリーズ末期に追加設定される、運動性能をさらに高めることにフォーカスしたスペシャルモデルや、あるいは「F40」、「F50」、「エンツォ」、「ラ・フェラーリ」のような生産数を限定した(F40の場合は厳密な限定数はなかったが)モデルが登場し、これらのクルマはそれまでのフェラーリ車の所有歴などからフェラーリ自身によってオーナーが決定されることも珍しくないのだ。これらのモデルを新車でフェラーリから購入できるようになるまでにも、カスタマーには相当な努力が必要となる。

 2018年には、フェラーリの新たなプログラムとして、彼らがレースの世界でさまざまな勝利を獲得した1950年代や1960年代の黄金期を彷彿させるスタイリングとパフォーマンスを、現代の最新技術で再現させるプログラムともいえる「イコナ・シリーズ」もスタートした。ファーストモデルとなった「SP1」と「SP2」は、いずれも1950年代のフェラーリ製レーシング・バルケッタを想起させるデザインが魅力。

 そして先日誕生した「SP3」は、1960年代のスポーツプロトタイプ「330 P3」にもっとも大きな影響を受けたと考えられる、いずれも限定車である。これらもまたオーナーは、おそらくフェラーリ自身の選択するところであり、購入に名乗りを上げたカスタマーのなかには、残念ながら「完売」という発表の前に涙を呑まなければならない者も多くいたことは想像に難くない。

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