登場時の新鮮味は薄れてしまった
一言でいえば、あまり評判がよくなかったというのが一番の理由だろう。
初代プリウスが出たときは「新しい」と思えたセンターメーターだったが、10年も経てば新鮮味は薄れる。しかも高級車やスポーツカーに採用される例はなく、コンパクトカーやエントリーモデルなど、安価なクルマへの採用が目立ったので、イメージアップにつながらず、むしろ「コストダウンのため」と思われている節もある。
さらにセンターメーターだと、どの座席からでも容易に視認できるので、ドライバー以外の他の乗員から「速度の出し過ぎだ」とか「遅い」と小言を言われる煩わしさも!
また宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999などで、いわゆる「零士メーター」が未来のメーターと刷り込まれたおじさん世代には、のっぺりしたディスプレイタイプのセンターメーターは魅力的に思えないのかもしれない。
SNSなどを見ても、「センターメーター嫌い」「センターメーター ダサい」「センターメーター 不評」といったネガティブなフレーズがけっこう目につく。
不便といった声よりも、「嫌い」とか「かっこ悪い」といった主観的な意見が目立つが、こうした声にメーカーが敏感に反応している部分はあるはずだ。
機能的にもメーカー側は「センターメーターは視線・焦点移動量が少なく見やすい」とその長所をアピールしていたが、視線を左右に動かすのは不自然で違和感があり、通常のメーターのように視線を上下に動かしたほうがラクだというドライバーは多い。
その上、言語的にも「横目に見る」「横目遣い」というのはネガティブな印象しかないし、「人の話を聞くときは、相手の目を見ること」と躾けられた育ちのいいドライバーとしては、やはりメーター(=クルマ)とは、正面から向き合いたいもの!?
これらの理由が複合的に重なって、センターメーターを支持するユーザーは少数派で、支持者が少なければ普及も進まない……。
しかるがゆえに、センターメーター採用車が減りつつあるのが現状だ。