もうモーターショーは必要なし? 「ソニー」「GM」「メルセデス・ベンツ」「BMW」などが電気機器の見本市「CES」で新車を発表する理由 (2/2ページ)

もはやEVは移動手段ではなく社会基盤のひとつになりつつある

 EVが自動運転を手に入れる際には、情報・通信技術が欠かせず、それによって実現可能となる。また、電気は、単に動力としてEVを走らせるだけでなく、EVから家庭や施設、あるいは送電網へ電気を供給することも可能にし、エンジン車時代の移動手段としてだけでなく、社会基盤のひとつの駒として位置づけられるようになる。

 こうなると、自動車だけのショーで最新の商品性をみせるだけでは不十分であり、暮らしと密接な日常のなかでのクルマの価値を見せることが重要になる。

 EVになれば、建物のなかへも走り込むことができるようになり、道路と建物という社会資本の境界線も希薄になり、人の移動の仕方にも変化が起こる可能性がある。そこに自動運転が加わることにより、安全性はもとより、共同利用などにおける情報伝達や利便性の向上が期待でき、クルマでの移動が、所有する以上に快適になる可能性がある。そうなってはじめて、超小型モビリティのような車種も活躍の場が見いだせるのではないか。

 好きなクルマを所有することがなくなることはないかもしれないが、個人の移動をより便利で快適にするのがEVの自動運転による共同利用であり、それによって道路と建物の境界が連続性を持つという意味で、電子機器の見本市=CESでクルマを発表する意味が深まるのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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