新型ステップワゴンは先代の秘密兵器「わくわくゲート」が廃止! ものすごーく便利なのに「不評」だった理由とは (2/2ページ)

「わくわくゲート」は諸刃の剣だった

 しかし、それが、意外にも、5代目ステップワゴンの足を引っ張っていたのである。その理由はまず、後から見た時の左右非対称デザインにあったらしい。特に、このクラスのミニバンを購入する際の、実質的決定権を持つ女性の目に不自然に映ったらしく、ウケなかったというのだ(嫌い、違和感)。

 では、左右対称であったならば、OKだったのか。じつはそうでもない。理由は、5代目ステップワゴンの運転席からの後方視界である。一般的なバックドアであれば、リヤウインドウは大きく広い1枚ものだ。が、わくわくゲートの場合、そこに縦の線が入ってしまう。それが後方視界を悪化させるほどではないにしても、気になる人は気になったようなのだ。

 それだけではない。わくわくゲートのサブドアだけ使っていれば気にならないことなのだが、バックドアを大きく縦開きしようとすると、わくわくゲートのサブドアなどの重さが響き、かなり重い開閉操作となっていたのだ(5代目ステップワゴンにパワーゲート機能はなかった)。

 さらに、筆者の推測としては、わくわくゲートによってリヤバンパーレスのデザインとなり、後部をぶつけたとき、追突されたときの被害が、バックドア全体に及ぶのではないか……という修理面での心配もあったと思われる。

 そうした点を総合すれば、ライバルが真似をしなかったのも頷けるというものだし、日産は早期にバックドアにガラスハッチだけでも開閉できる、デュアルバックドアを採用(日産のステージアというステーションワゴンもガラスハッチだけ開閉した経緯がある)。

 そして、新型ノア&ヴォクシーでは、任意の位置でバックドアが止まるフリーストップバックドアを開発。偶然にも、新型ステップワゴンもまた、バックドアの開き方を任意の位置で止められる、背が低い人でも手が届く位置にピタっと止まるように開度を記憶できるパワーテールゲート(スパーダ)を採用することになったのだ。

 とはいえ、荷物の出し入れ性はともかく、人もペットも乗降できるわくわくゲートのサブドアの使い勝手の良さは、ほかにない魅力。なくなった今になって、その便利さが一段とクローズアップされたりしている、ないものねだりの今日、この頃なのだ。

 左右非対称に見えない、あるいは後方視界に縦線の入らないわくわくゲートが開発され、縦開きする際の重い操作も、パワーバックドアを併用することで、現代のクリエイティブムーバーとして、わくわくゲートファンだった筆者は、5代目ステップワゴンのバックドアにかかわるウィークポイントがすべて解決し、より魅力的で使いやすい、ライバルなきMクラスボックス型ミニバンになり得ると思えたりするのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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