政府への不信感や無関心が仇となる可能性
政府は2030年代半ばに、いまのところはHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)も含め、電動車両以外の販売を認めないとしているが、消費者の間では「電力供給は大丈夫なのか」という漠然とした疑問を持つひとは少なくない。
テレビがアナログからデジタル放送へ移行した時に、テレビ自体を持つことをやめた人がいたように、車両電動化が進めば節目として“マイカー”自体を持たなくなる人は出てくるだろうが、大半の消費者は素直にその流れ(車両電動化)を受け入れたいと考えているように見える。
少し前にテレビを見ていたら、これはデジタル化の話だったのだが、「日本は政府への信頼が低いのでなかなか進まない」と語った識者がいた。日本人の政治不信や無関心はいまに始まったものではないが、それが最近ではさらに先鋭化しているようにも見える。
現状ではBEV(バッテリー電気自動車)では、もはや経済や自動車産業の規模からみれば、“普及後進国”といっていい状態。日系メーカーのラインアップ強化などは、それなりに進んでいくだろうが、政府が国民の信頼を得ながら、もっと強いリーダーシップを持って車両電動化を進めないと、「結局割を食うのは一般国民だよな」ということになり、それが普及へブレーキをかけてしまうかもしれない。
何ごとも迷走するのが日本の政治の常道。興味はあるが、いまひとつわかない部分も多い電動車に乗ると、どのようなメリットがあり、その普及のために政府として最大限のバックアップを行うといった強いメッセージをぜひ発していただきたい。