リチウムイオンバッテリーのコスト低減が望まれる
こうしてBEVの課題を挙げてみると、やはり大きな要素となっているのは電池であることが分かる。その電池で、今後10年から20年ほど先までBEV向けの主流になると言われているのが、リチウムイオン電池だ。携帯電話などでも利用されているが、一般的にBEV向けは大型リチウムイオン電池という区分となる。
リチウムイオン電池の構造は、正極と負極の間にセパレーターという仕切り素材があり、それらを電解液という液体で満たしている。正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充放電に伴う電流が生まれる仕組みだ。
ただし、正極、負極それぞれに使う材料にはさまざまな種類があり、その組み合わせよって電池の性能にも差が生じる。また、電池の形状も円筒型、角型、パウチ型など複数の種類がある。一般的には、電池そのものをセルと呼び、複数のセルをまとめたものがモジュール、そしてモジュールを組み合わせたものを電池パックと呼ぶ。
こうしたリチウムイオン二次電池のコストの詳細について、一部の電池メーカーや自動車メーカーが学会などでデータを公表している。それによると、とくにコストがかかるのが正極材だ。なかでも生産量が制限されているコバルトがコスト高に要因となると言われている。
つまり、今後BEVの普及拡大を目指すためには、資源を採取するうえでの制約が少なく、また持続的に入手でき、さらに耐久性が高い素材をより安いコストで採用することが重視される。そのため、近年はトヨタを始めとして大手自動車メーカーは電池メーカーや素材メーカーと共同で、たとえばコバルトレスのリチウムイオン電池の研究開発を促進しているところだ。
電池の技術革新が、BEV普及のカギであることは間違いない。