冬は「運転支援機能」の過信に注意!  「自動ブレーキ」や「クルコン」が十分な性能を発揮しない可能性アリ (2/2ページ)

ACCの車間は長めに設定すると良い

 同様の理由で、ACCを使う際にも積雪路では配慮が必要だ。先行車との車間距離を保つ際にエンジンブレーキ、機械ブレーキを併用するが、いずれにしても路面が滑りやすいときは制動に必要は時間や距離が長くなってしまう。

 メーカーも安全マージンはとっているが、ユーザーとしても車間距離(3~5段階程度で調整できる)を長いほうに設定するなど、先進運転支援システムを安全運転に有効活用できるよう工夫することが重要だ。

 これは雪道に限った話ではない。雨の日にACCを使う際は車間距離設定を長くするなど、状況に応じて調整することが重要だ。ACCのことを自動運転の入口といえる機能として説明することもあるが、まだまだ人間側で最適な設定をすることで自動運転的な振る舞いをする機能と捉えておくべきだろう。

 また、最近の先進安全装備として白線(区画線)を検知して車線にあわせて操舵支援をしたり、車線逸脱を抑制する機能を備えたクルマも増えているが、そもそも積雪路では区画線が見えなくなっていることも多く、どこから路外なのか判別しづらい状況も多い。

 つまり、車線中央維持、車線逸脱抑制といった機能は雪道では適切に作動しない可能性がある。その場合、クルマ側からコーションが出てくるものだが、ドライバーとしては、区画線を検知することを前提として先進安全装備は機能していないというくらいのつもりでいた方がいいだろう。

 こうした判断をするには、先進安全装備がどのようなセンサーを使っているのかを理解しておく必要もある。前述した区画線認識はカメラで行なっているため、人の目で判別できないくらい路面に雪が積もっていればクルマ側の認識できていないと予想できる。

 また先行車や歩行者を検知するセンサーについてもカメラを使っている場合は、雪が激しく降っている状況では十分な機能を発揮できない可能性がある(その場合はメーター内にワーニングが出るケースが多い)。

 一方、ミリ波レーダーはそうした悪天候下でもカメラタイプよりはセンサーとしての機能は維持しやすい。平常時にはカメラだけでも十分に検知できるにもかかわらず、レーダーを併用しているシステムが存在しているのは、雪道のような悪条件における冗長性を確保するという意味もあるのだ。

 冬は雪が積もるような地域であれば、クルマ選びの段階からそうした部分にも配慮するといいかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報