ドリフトアーティストとして名所でドリフトしまくる!
YouTubeで検索し、こうしたケン・ブロックが参加した各種動画して頂ければ、ケン・ブロックは「いかに特殊な存在」なのかがすぐに分かるだろう。
走行の舞台が、大都会ロサンゼルスのダウンタウンやフリーウェイだったり、メキシコの古い町並みのド真ん中だったり。または、極寒の北欧での氷上だったり。
こうした各種動画での特長は、画面に人の気配がないことだ。現代社会のリアルな場所なのに、人の気配を消すことで、まるでバーチャルのような空間を演出し、その中をケン・ブロックが操る豪快マシンが爆走する。大予算をかけた映画のワンシーンのようでもあり、コンピュータゲームソフトのひと幕であるようにも見える、なんとも不思議な空間である。見方を変えると、他の類のない独創的なビジネスモデルだともいえるだろう。
さて、ケン・ブロックなる人物。職業を、ドリフト・アーティストという。そう、彼と彼のチームはクルマのドリフト走行を利用したアート作品を手掛けているのだ。
ケン・ブロックは1967年のカリフォルニア州生まれというから、54歳とけっして若くない。モータースポーツのバックグランドとしては、38歳の時に米ローカルラリー選手権に初出場したという極めて遅咲きだ。
2000年代から2010年代にWRCに参戦しているが、輝かしい戦歴は残していない。また、2台でタイムアタック形式で戦うラリークロスの出場経験があり優勝経験はあるがシリーズチャンピオンなっていない。
モータースポーツの世界では大ブレイクできなかったケン・ブロックが、新たに目指した道がドリフト・アーティストだったのだ。エンターテインメント大国のアメリカならではの、サクセスストーリーである。