この記事をまとめると
■韓国で尿素水が不足しているというニュースが流れた
■ディーゼルエンジンで必要な尿素水はアドブルーという商品名で流通している
■尿素水が排気ガスをクリーンにする仕組みを解説する
排出ガスをキレイにするために必要!
昨年11月頃の話になるが、韓国での尿素水不足がニュースで報じられた。尿素水がないと、トラック、バス、大型重機など、ディーゼルエンジンを使う車両が動かせなくなるため、いきなり大きな社会問題に直面する事態となったためだ。
ディーゼルエンジンと尿素水は、排出ガスの清浄化に必要不可欠な物質という関係にある。ディーゼルエンジンは、その燃料に軽油を使うが、軽油を燃焼する過程で窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)が生成される特性を持っている。ともに、そのまま大気中に放出されれば、大気汚染を引き起こす有害物質となるため、両者の排出を大きく軽減することがディーゼルエンジンの社会的命題となっていた。
この解決策として考え出されたのが、尿素水を還元剤として使う「尿素SCRシステム」である。このシステムを世界で初めて実用化に成功させたのが、かつての日産ディーゼル工業(現UDトラックス)だった。同社がFLENDS(Final Low Emission New Diesel System)と名付けた排出ガス清浄化システムは、排出ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)に尿素水(アンモニア=NH3)を反応させることで、水蒸気(H2O)と窒素(N2)に作り替える装置である。
このシステムで、アンモニアではなく尿素水を使う理由は、アンモニア(常圧で気体)は毒性が強く、そのままの状態で携行するのは危険性が高いことから尿素水(アンモニア水溶液と考えてよい)に置き換え、この尿素水を高温の排気ガス中に噴射することで加水分解させ、アンモニアガスとして窒素酸化物(NOx)との反応を意図した方式である。