バッテリー残量さえあればEVの方がリスクは少ない
ちなみにガソリン車では、エンジンを止めたままではヒーターを使うことは出来ない。ヒーターを使うのにはエンジンをアイドリングで回し続ける必要があり、アイドリング時の燃料消費量は、乗用車で1時間当たり0.8〜1リットルぐらいといわれている。
ということは、60リットルが満タンのクルマで最長60時間、ガソリンの残量が半分の状態で立ち往生に巻き込まれたら30時間しかアイドリングを保てないので、暖房を使い続ける時間でいえばEV(ヒートポンプ式)もガソリン車もほぼ条件は同じと考えていいだろう。
そのうえでEVなら、シートヒーターやハンドルヒーターがあるので、暖房の代わりにこれらを使う、あるいはシートヒーターを併用することで暖房の設定温度を低く抑えることができれば、電費はさらに抑えることが可能。
ヒートシーターだけなら100Wぐらいしか使わないので、バッテリー残量が30kWhだとしても300時間、ハンドルヒーター、その他と合せ200W消費しても、150時間は耐えられる!
さらにいえば、ガソリン車の場合、大雪で閉じ込められると、マフラーの出口が雪で塞がり、エンジンをかけたままだと一酸化炭素中毒になる恐れがあるが(これが一番怖い)、EVはそのリスクがないので、むしろ安全度はガソリン車より上だともいえる。
問題があるとすれば、立ち往生が長時間続き、バッテリーが電欠したとき。ガソリン車ならガス欠になったとしても、携行缶などで即座に給油することが出来るが、電欠したEVはレッカーで充電設備のあるところまで牽引してもらわなければならないからだ……。
一方で、NEXCO中日本がこの冬NEXCO中日本が、「EV車に向けた可搬式充電器(28台)や電気自動車用急速充電車(1台)を配備」することを発表。
大雪による滞留が発生した際の備えとして、ガソリン車への燃料補給に加え、EV車への充電対応などの強化もはじめている。
というわけで、バッテリー残量さえきちんとあれば、EVでも大雪による立ち往生時のリスクがガソリン車に劣ることはなく、むしろアドバンテージがあるぐらいだが、動力源を問わずそもそも大雪で閉じ込められないのが一番の上策。
気象情報や道路状況の収集を怠らず、大雪が予想されるときは高速道路や山道を通らないことを大前提にしよう。