この記事をまとめると
■日産ブランドアンバサダーのキムタクが「やりすぎNISSAN」と発言した
■電気自動車アリアに搭載の4WDシステム「e-4ORCE」の超絶ハンドリングを絶賛
■1990年代の日本車には「やりすぎ」なクルマや技術が多数あった
かつては「やりすぎ」といいたくなる国産車がたくさんあった
CMに出演するなど日産のブランドアンバサダーを務めるのは、キムタクこと木村拓哉さんであることはご存知の通り。そんな木村さんが日産アリアのCM発表会において「やっちぇえNISSAN」というキャッチコピーをもじって「やりすぎNISSAN」と発言したことが話題になっています。
木村さんが「やりすぎ」と評したのは新型の電気自動車アリアに搭載される全輪駆動システム「e-4ORCE」の超絶ハンドリング性能。日産の電気自動車は1/10000秒単位で制御していることは知られていますが、その制御技術とブレーキ制御を組み合わせることで、思い通りのコーナリングが楽しめるというもの。さらにタイヤの性能も引き出してくれるので、パフォーマンスそのものも上げるというのが特徴です。
さて、木村さんの発言はCM出演者としてのリップサービスとしても、過去にも「やりすぎ」と言いたくなるようなクルマや技術はあったのでしょうか?
筆者個人の感想ですが、1989年に登場したマーチスーパーターボは、まさしく「やりすぎぃ」と感じた一台でした。
初代マーチのホットモデルとして登場したスーパーターボには専用の「MA09ERT」というエンジンが搭載されていました。通常のマーチに搭載されるMA10ETをベースとしたSOHCヘッドの4気筒エンジンですが、ボアを68mmから66mm(ストロークは68mmで共通)に小さくすることで、あえて排気量を930ccとした過給エンジン。
排気量ダウンの目的はモータースポーツにおける過給係数を考慮してものだったのですが、驚くのは過給システムの構成で、なんと機械式スーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせたツインチャージシステムとなっていたのです。結果として、現在に至るまで国産車として唯一のツインチャージャー車になっています。
いくらモータースポーツを前提にした仕様だとしても、ベーシックモデルをベースにツインチャージャーを生み出してしまうというのは、まさに「やりすぎ日産」と多くの人が思ったはず。さらに純正状態でビスカスLSDを組み込むという仕様かつ、スーパーチャージャーの兼ね合いでパワステなしという硬派な仕様で市販したのも「やりすぎ」感を強めた一台に仕上がっていたのでした。
こうした「やりすぎ」なクルマは、この時代に多く登場しています。それは日本がバブル景気に踊らされていたからに他ならないでしょう。贅沢な機構、凝ったメカニズムを受け入れる市場マインドがありました。