コルベットはアメ車の中でも孤高の存在なのだ
もそもコルベットというクルマは、アメリカ人にとって、たんなるスポーツカーではなく、またカマロやマスタングのハイパフォーマンス系での”いわゆるマッスルカー”でもない。
アメ車なのだが、ヨーロピアンな雰囲気も醸し出し、さらに近未来感も兼ね備えた、スペシャリティカーという独特の世界観を持つ。
筆者は歴代コルベットについて、全米各地のモーターショー、GM本社主催のメディア向けイベント、また製造拠点であるケンタッキー州ボーリンググリーンでのユーザー向けインベント、そしてミシガン州デトロイト周辺のGM本社関連施設で、コルベット開発関係者やデザイナーと意見交換をしてきた。
そうしたなかで、GMがなぜコルベットにこだわるのかが少しずつわかってきたように思えた。新型コルベットの大いなる変化についても、GMがこれまでコルベットに対して貫いてきた思いが次世代に向けて具現化されたのだと解釈している。
GMにとってコルベットは特別な存在であり、GMが描かれたコルベットの世界感をアメリカン人は理解し、そして楽しんでいる。
一方で、トヨタのスープラ、日産のZやGT-R、そしてホンダのNSXなど、日系メーカー各社もスポーツカーやスーパースポーツに対する各社独自の思いがある。その結果として、車両のスペックと新車価格が決まっていく。
その上で、日系メーカー各社は、コルベットに対して正面を切った形でのライバル車を企画したことはない。
なぜならば、日系メーカー各社が、コルベット独自の世界観を尊重し、その領域に踏み込んで勝負をすることはとても難しいことを理解しているからだと思う。