先進の安全運転支援機能装備でもはや弱点なし
新型ノア&ヴォクシーはミニバンならではの室内空間にも大きく手が入っている。運転席に座れば、極細Aピラーと大型三角窓、すっきりとしたインパネデザインによって、前方、および斜め前方の視界は極めてルーミー。座った瞬間から運転のしやすさを実感できるに違いない。
カラーヘッドアップディスプレイやデジタルミラーが採用されるとともに、インパネセンターにはコネクテッドナビ対応の8インチのディスプレイオーディオ、そして上級の10.5インチのディスプレイオーディオ+(プラス)を揃えている。
+(プラス)のナビ機能には、リアルタイム情報があり、ガソリンスタンドのガソリン価格(口コミ)、駐車場料金、空車情報(特定のパーキング)、食べログのレストラン評価(★)など、これまでスマホで検索していたこともナビ画面での表示が可能。
エージェント機能では、「ヘイ、トヨタ」と言ってから、行ってほしいことを発声すれば、目的地設定はもちろん、ウインドウの開閉、エアコンの温度調整(後席エアコン含む/2度単位で上げ下げしてくれる)などのさまざまなエージェント操作が可能。マイクは運転席、助手席それぞれの頭上にあり、たとえば運転主が「窓を開けて」と発声すれば、運転席側の窓を開けてくれるのだ(助手席の人が発声すれば助手席の窓を操作できる)。
まぁ、ウインドウの開け閉めやエアコンの温度設定ぐらいは自分の手で操作しろよって言いたいところだが、運転に不慣れな人が高速道路を緊張しまくって走っているときには、ありがたく便利かも知れない。
それに加え、通信量無制限のトヨタ初の車内Wi-Fiを用意したことも、スマホひとり1台の時代における「より快適に、より便利に、より安心なミニバンとして家族や仲間が笑顔になる時間を演出」という新型ノア&ヴォクシーのコンセプトに合致する配慮と言えるだろう。
ミニバンと言えば、高くて見晴らしのいい着座位置が特徴だが、TNGA、GA-Cプラットフォームの採用によって、パッケージングも変化。スライドドア部分のフロア高はボディ剛性を高めるためもあって、先代の360mmから380mmに高まり、Bピラーを20mm後ろに移動。よって、スライドドアの開口部幅は先代の805mmから780mm(メーカー値)になり、高さは1260mm(実測)と同等。もちろん、だからと言って乗降性が悪化していることはない。むしろ子供や高齢者にとって乗降がより楽になっていたりするのだ(その秘策装備については後編にて紹介する)。
また、各列のヒップポイント地上高も先代と微妙に異なる。2WDの1列目席は先代765mm、新型770mm、2列目席先代765mm、新型790mm、3列目席先代850mm、新型840mmと、とくに2列目席のヒップポイント地上高が高まり、特等席として一段と爽快な着座感が得られることになる。2列目キャプテンシートのシートの着座性、立ち上がり性にかかわるヒール段差=フロアからシート先端までの高さは実測約370mmで先代とまったく同じである。
ところで、冒頭に先代の弱点が先進運転支援機能にあったと説明したが、ズバリ、新型の先進運転支援機能は一気に2世代はグレードアップされた内容と言っていい。先代は最小限のトヨタセーフティセンスCであり、それこそACCも未装備。セレナのプロパイロットやステップワゴンのホンダセンシングに見劣りしていたのも事実。
が、新型ノア&ヴォクシーはトヨタ最新のトヨタセーフティセンスを惜しみなく投入。センサーの検知範囲を約2倍に拡大した内容で、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール=ACC、交差点衝突回避支援、レーンチェンジアシスト、トヨタ車初の歩行者の横断、飛び出しを先読みしてステアリングとブレーキ操作をサポートするプロアクティブドライビングアシストなどを含む全15項目の機能に及び、レーダークルーズコントロール=ACCを使っていないときでもカメラでカーブを認識して作動するカーブ減速支援機能を搭載。
さらに、アドバンストドライブ(渋滞支援)の採用にも注目だ。自動車専用道路の同一車線で、レーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシスト作動時の0-40km/hの速度域で、自動運転レベル2に相当するハンズオフドライブが可能になるのだ! また、バック&前向き駐車に対応し、スマホでも駐車&出庫をサポートするアドバンストパークなども用意。つまり、トヨタ車最先端の先進機能がテンコ盛りなのである。
実は、新型ノア&ヴォクシーがそこまでの想像を超えた進化を見せ、トヨタ初を含む先進・最新機能、装備、アイディアを盛り込んだのには理由がある。ノア&ヴォクシーの場合、開発は初代から一貫して水澗さん(現トヨタ車体取締役・執行役員 開発本部 本部長 ZH1チーフエンジニア)が担当しているのだが(だから車両コンセプトがブレない)、今回、ノア&ヴォクシーの開発がトヨタ自動車からトヨタ車体に移管。だから絶対に失敗は許されない。持てる技術、装備、機能、アイディアを惜しみなく出し切る! ……そんな意を決した事情もあると察する。
さて、新型ノア&ヴォクシーのハイライトはそれだけにとどまらない。ライバルを驚愕させる内容盛りだくさんなのだが、紹介すべき項目があまりにも多すぎるため、室内空間、居住性、乗降性、3列目席まわりの進化、さらにこれまで高級車用だったトヨタチームメイトのハンズオフも可能なアドバスントドライブ、自動パーキングシステム嫌いの筆者を納得させたアドバンストパークの驚愕の内容、詳細などについては、このWEB CARTOPの新型ノア&ヴォクシー解説第二弾で報告したい。