この記事をまとめると
■昨年末、「EVも全力でやっている」とトヨタが突然発表した
■最近のトヨタはフットワークが非常に軽い印象がある
■トヨタが昨年発表したBEV戦略の真意を深堀りする
「2030年までに350万台EVを売る!」と突然の宣言で業界は騒然
多くのユーザーが本当に驚いただろう。
トヨタが2021年12月14日に実施した、EVシフトに関する発表会のことだ。開催場所は、2021年末を持って閉鎖が決まっていた、トヨタの商業施設MEGA WEB(東京都江東区)。
会見は始まると、豊田章男社長がすでに2022年央に発売が確定している「bZ4X」以外に、4台のbZシリーズを披露した。
それだけでも「おぉ、一気にきたな」という感想を持った報道陣が多かったと思うが、それら5モデルの後部にあった白い幕が降りると、さらに11台もの新作EVが姿をあらわした。これには、長年に渡りグローバルでEV関連の取材を続けてきた筆者も驚きを隠せなかった。
豊田社長は「2030年までにグローバルで新車の年間販売のうち350万台をEVにする」と宣言したのだ。2021年5月の決算報告の時点では、2030年までに燃料電池車を含めてEVは200万台としており、それを一気に150万台も上乗せするという、極めて大胆な事業転換である。
昨今の世の中の流れを見れば、トヨタがこうした戦略に出ることは十分に理解できる。なかでも、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)による「欧州グリーンディール政策」が、政治主導で欧州企業にとっての経済効果を高める手法をとり、その影響がアメリカや中国にも及んでいる状況だ。