命題には答えが出ない
だがこうして高齢になってくると、クルマの運転に対する気力体力が低下し、カラダの無理が効かなくなってくる。加齢による運転の影響を、筆者自身が実感するようになってきた。
これまでも、高齢ドライバーに関する各種取材をしてきたが、自らが高齢者の仲間入りをするようになると、当たり前のことだが、他人事ではなく自分事になる。
こうした過去のさまざまな体験と現状を踏まえると、正直なところ、命題である「死ぬまでに乗っておきたいクルマ」をここでハッキリと申し上げる自信がない。
過日、都市開発関連のコンソーシアムでご一緒してきた、コンピュータシステム開発の権威の方が70代半ばでお亡くなりなった。数年前、その方から「そろそろ『終(つい)のクルマ』を考えたいが、何が良いと思うか?」とご相談を受けたことがあった。アメリカなど海外生活も豊富で、ご相談を受けた時点でも乗っておきたいクルマがさまざまおありだったようだ。
さて、筆者自身はこれからどうすれば良いものか? 「死ぬまでに乗っておきたいクルマ」。広義においては、十分理解しうる表現だが、なんだかとっても寂しい響きがある。