年度末セールは値引きが荒れる? ディーラーの初売りを回って感じた異変 (2/2ページ)

部品調達の混乱からくる納期遅延が値引きに影響

 “まったく納期が読めない”や、“納車まで時間がかかる”というわけではなく、管理顧客にだけ知らせるなどの“隠し玉”はどこのディーラーも少なからず持っている様子。こうなると、少々アナログとなるが、新車ディーラーへ足しげく通い情報を集めるほうが、リアルタイムで状況は変わる現状では、より有益な情報がつかめるようであった。筆者は今回“フリー来店の新規客”として店を訪れたが、管理顧客向けの“隠し玉お買い得車”を勧められた。

 昨今のサプライチェーンの混乱による納期遅延が問題化する以前から、新車の納期は時間がかかる傾向があったので、本来なら2・3月で展開する事業年度(2021事業年度なら、2021年4月から2022年3月の間)末決算セールも、最近では、1月に前倒しして事実上事業年度末決算セールを展開する傾向があった。

 そこで、2022年の正月に初売りを回ったところで、2021事業年度末決算セールの傾向をみると、すでに事業年度内に納車が可能となるかは、ほとんどの新車で良くても“微妙”というのが現実で事業年度内に納車が可能となる車種は限定的となっている。おおまかな生産予定などは出ているものの、これも状況次第では変更となってしまう。

 そのため実際セールスマンが話してくれたところもあるが、傾向としては「納車まで待ってもらうことになるので、その分値引きで還元」というトーンがセールスマンからは伝わってきた。それほど本気モードで商談をしていなくとも、軽自動車でさえ、いきなり限界に近い値引き額を提示してきたり、カーナビなどのオプション用品の一部金額負担や、超低金利ローンの期間限定展開など、いつになく今後事業年度末決算セールが進んでいくなかで、値引きが荒れそうな気配というものを初売りで感じた。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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