ミニバンの最重要項目「シートアレンジ」に工夫が盛りだくさん
3列シートにも大小さまざまな工夫が盛り込まれている。後方へ行くほどヒップポイントが高まるシアターレイアウトとしつつ、1・2列目シートの背もたれの角を落とし、ヘッドレストを上下方向に小型化。前方視界を拡大しつつ、サイドウインドウ上下のラインを室内前端から3列目付近までほぼ水平に揃えることで、乗員の視野を安定させ、乗り物酔いを未然に防ぐ効果も与えているのだ。
現行モデルの弱点のひとつだった2列目のシートアレンジも大きく進化した。まず、キャプテンシート自体がシートベルト内蔵式に変更されるとともに、左右方向へのスライドが可能に。また、前後スライドは外側で610mm、内側で865mmものスライド量が確保されたことで、多彩なシートアレンジが可能になった。
しかもこれらの操作は、2段階式のレバーを一番上まで引けば自由自在に行える(1段階目では前後スライドのみ可能)。3列目をほぼワンタッチで床下へ格納できる「マジックシート」も現行モデルに続き採用されているため、シートアレンジ自体が、特に子供にとっては楽しみのひとつになるかもしれない。
なお、「スパーダ」の2列目キャプテンシートにはオットマン機構が設定される見込みだが、「エアー」にも用意してほしいと願うのは筆者だけではあるまい。
カラーラインアップは「エアー」と「スパーダ」とで大きく異なる。ボディカラーは、プラチナホワイト・パール、スーパープラチナグレー・メタリック、クリスタルブラック・パールの3色が両タイプ共通だが、「エアー」にはフィヨルドミスト・パールとシーグラスブルー・パール、「スパーダ」にはトワイライトミストブラック・パールとミッドナイトブルービーム・メタリックが専用色として設定される。
インテリアは、「エアー」がグレーまたはブラックの撥水・撥油機能付きファブリック内装(シート背面はプライムスムース(合成皮革))。「スパーダ」はブラックの撥水・撥油機能付き織物×プライムスムースコンビ内装で、ルーフライニングもブラックとなる。
今回の発表では、メカニズムや走りの進化、ラインアップの詳細に関しては明かされなかったものの、「スパーダ」には上級モデル「プレミアムライン」が設定されるなど、さらなる隠し球が用意されている模様。
新型ステップワゴンの開発を指揮した蟻坂篤史LPLによれば、新型ステップワゴンの企画にあたっては、現行モデルの競合対比のみならず歴代モデルの振り返りも実施。現行モデルは主に外観とシートアレンジが競合車に対し不利で、また歴代モデルを通じてプロダクトアウトの傾向が強いとの結論に至ったという。
そうした反省を踏まえて開発された新型ステップワゴンは、実車をごく短時間見ただけで、内外装がデザイン・質感・機能とも劇的に進化したことが分かり、「欲しい!」と思わせられるだけの魅力の持ち主であったと断言できる。
果たしてメカニズムと走りはどれほど進化しているのか、そして価格は……続報を期待して待ちたい。