この記事をまとめると
■日産がJAXAとの共同開発による月面探査車両ローバを発表した
■日産にはかつて宇宙航空開発事業部門があり、その技術は市販車にフィードバックされていた
■月面探査車両ローバにはe-POWERで培った日産の技術が活かされている
EVの技術は燃焼が不可能な宇宙空間で活かされる
12月に日産自動車のグローバル本社ギャラリーで、日産・フューチャーズという展示が開催された。そこに出展された一台が、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同開発による月面探査車両ローバだ。
自動車メーカーと宇宙事業の関係は、唐突に思えるかもしれない。日産は、かつて宇宙航空事業部門を持っており、そこで開発された技術のひとつにカーボンファイバー・コンポジットがある。そしてGT-Rに量産可能なカーボンファイバー・コンポジットを採用するなどを行ってきた経緯がある。しかし、日産は、再建のリバイバルプランのなかで、2000年に宇宙航空事業を営業譲渡したのだった。
今回のローバ開発は、かつての日産を知る人にとって、それほど唐突ではないかもしれない。
また、クルマの電動化のなかで、日産はいちはやく電気自動車(EV)の市販に取り組み、モーター駆動の潜在能力を研究し続けてきた。そのひとつの成果が、シリーズハイブリッドのe-POWERだ。宇宙空間ではエンジンのような燃焼による動力は、酸素を携帯することでしか実現できないが、電気を使う駆動は太陽光を利用して無限に行うことができる。EVの技術を活かせるのが宇宙空間でもある。