高い遮音性と振動の少なさで快適性が大幅に向上
エンジンを始動し走り始めると、従来にも増して音が静かで、高い遮音性と振動の少なさを感じる。じつは筆者も5月にCX-5のディーゼルを新車で購入したばかりで、会場にも自車で乗り付け従来モデルのNVHは身に染み込んでいるのだが、それでも静かで快適性が上がったと感じられたのだ。
遮音材などの配置は従来同等だが、シャシーの丁度中央、コクピット下のクロスフレームの断面形状や接着剤追加などで強化し振動を抑え込んだことと、また、シートフレーム剛性をあげてシートに伝わる振動の抑制効果が高いようだ。
一般道を走り始めると、路面からの振動抑制も向上している。装着タイヤが225/65-17のヨコハマタイヤ・ジオランダーで、M+S規格のものゆえ、本来なら若干は乗り心地やロードノイズ面で不利なはずだが、フラットな乗り心地と静粛性の高さに驚かされる。
サスペンションはスプリングレートを前後ともに高め、ダンパーの減衰力も強化されている。これはピッチング変化を抑えることが前提で車両姿勢を常にフラットに保つことが操縦性に貢献している。ディーゼル搭載車はフロントヘビーでアジリティ面に問題を感じていたが、サスペンション強化により軽量なガソリン車並の軽快さを可能にしている。
オフロードモードを試すべく、特設コースが用意されていた。と言っても平坦なスペースにモーグル用の段差を仮設置した難易度の高くないものだ。
ここをディーゼルで試すと、対角で前後一輪ずつ浮いてしまった状態でもスムースに問題なくクリアできる。ディーゼルは低速トルクが大きく、重量も大きいのでこうした場面での走破性が高いのだ。
ここをガソリン仕様で試すと、ノーマルモードでは浮いている車輪が空転して前に進めなくなる。それがオフロードモードでは空転車輪にブレーキをかけ接地輪に駆動力を与えるため脱出できる。従来のオフロードトラクションをより強化した設定としていて、路面の斜度を検知してアイドリング回転数を上下し発進性制御が加わったのも特徴と言える。
次に「スポーツ・アピアランス」を試す。グレードは25Sスポーツで2.5リッターガソリンエンジンを搭載するFF前輪駆動モデルだ。じつは今回の改良で2.5リッターのガソリンターボエンジンはラインアップから消滅している。
スポーツ・アピアランスの特徴は外観にもっとも現れている。フロントバンパー下からホイールアーチカバーやサイドガーニッシュなどに黒のグロス(艶あり)塗装を採用し、スタイリッシュな外観をより強調している。
室内や装備はLパッケージグレード相当だが、ブラックのルーフライナーが採用され、上級のエクスクルーシブモードに準じたスポーツ感あふれる室内となっている。
装備面で大きな目新しさはないが、シートレール強化とマツダが提唱する骨盤の位置を安定させるシートクッションの採用などで長距離走行での疲労軽減と静粛性向上は同様に施されているのだ。
FF+SUVの組み合わせは個人的には受け入れ難いが、グローバルの市場では大きなマーケットが存在するのも事実で、CX-5は今回の改良でより高い人気を今後も維持できるだろう。