この記事をまとめると
■WEB CARTOPでお馴染みの渡辺陽一郎さんの愛車遍歴を紹介
■昔、クルマを選ぶ基準の予算はいつも30万円だった
■さまざまなクルマに乗った知見が今も仕事で生きている
最初の条件はスポーツ感を感じられる30万円のクルマ!
1981年に大学に入学して運転免許を取り、初めてクルマを買うとき、5つの条件を考えた。
1:4ドアセダン
2:全長は4m以下
3:スポーティなエンジンを搭載
4:後輪駆動
5:価格は30万円以下
というものだ。つまりボディがコンパクトな後輪駆動のスポーツセダンが欲しかった。クーペは子供の頃から好きではない。予算は30万円だから当然に中古車となる。
そこで選んだクルマが、1975年式3代目カローラセダン1600GSL(4速MT)であった。昭和50年排出ガス規制の直前に生産されたツインキャブレター装着車で、1975年当時、規制前の駆け込み増産を行って新聞で叩かれたモデルだ。
OHVながらエンジンはとてもパワフルだったが、足まわりは劣悪だった。前輪はストラットの独立式だが、後輪はリーフスプリングの車軸式だ。峠道のカーブはまったく曲がらず、無理矢理パワースライドさせていた。動力性能が高いエンジンに、ダメな足まわりを組み合わせたクルマがあることを初めて知った。
次のクルマも30万円だが、KP61型スターレットだから、走行安定性とハンドリングは大幅に向上した。ボディの軽い後輪駆動の4速MTだから、自分の手足のように操れる。雨の日など、サイドブレーキを使ったスピンターンにアクセルターンを繋げると、直線路でクルンとひと回りする360度ターンも簡単に行えた。
貧乏だからバッテリーが上がると、平坦路でも1人で「押し掛け」をした。運転席のドアを開いて車両を押して、速度が少し高まったら飛び乗ってエンジンを始動させる。峠道では発進時以外、クラッチペダルを踏まずに変速しながら走ったりした。シフトダウンでは左足でブレーキペダルを踏み、右足で最適な中吹かしをすると、クラッチペダルを踏まなくても滑らかにシフトダウンできる。シフトアップも速度にエンジン回転数を合わせれば、クラッチペダルを踏む必要はない。
坂道発進はツマ先でブレーキペダル、踵でアクセルペダルを踏み(要はヒール&トゥ)、最適なクラッチ操作をすることで、サイドブレーキを使わず滑らかに発進できる。アホなことばかりやっていた。