最新モデルではついに700馬力オーバーのパワーを手にした
1974年に誕生した、セカンドジェネレーションの911ともいえる930型での大きな話題はターボモデルの誕生だ。260馬力(日本仕様は245馬力)というハイパワーに対応するためにワイドタイヤを装着し、そのためにグラマラスなリヤフェンダーを装着した911ターボは(年式によってターボ、930ターボとも呼ばれる)、その独特なアピアランスから日本のスーパーカーブームでも常に人気の中心にあったモデル。
ミッションは4速MT、1977年にはインタークーラーの追加装備も行われたが、1981年にはその輸入は一時中止。再開されるのは1985年のことになる。
続く1989年デビューの964型911、1993デビューの993型、1997年に初めて水冷式の水平対向6気筒エンジンを搭載して誕生した996型、2004年デビューの997型、2011年デビューの991型、そして2018年に登場した992型のいずれでも、ターボは911シリーズのトップ・パフォーマンスモデルとして独自の地位を築き続けた。
そしてさらにポルシェ・ファンからの注目を浴びたのは、996型から設定されたGT3やGT3RSといった、自然吸気の高性能モデル。そもそもそれは、1999年にポルシェカップへの参戦を望むカスタマーなどに向けて1400台が限定生産される予定のモデルだったが、想像以上のオーダーを受けたという事情もあり、のちにそれはカタログモデル化された。
ちなみにGT3RSは、さらにフロントフードやドアミラー等々をカーボン製とした軽量版である。
315km/hの最高速を誇るGT2が誕生したのもこの世代から。駆動方式は通常のターボが4WDであるのに対してGT2はRWD。車重は同様の比較で100kgも軽量だ。この数字を見て、ポルシェはスーパーカーにあらずと誰がいえようか。
続く997シリーズにもGT3、GT2のラインアップはあるが、その中でも特別な存在といえるのは、600台の限定で生産されたGT3RS4.0と、GT2RSの両車ではないだろうか。
とりわけ後者の最高出力620馬力は、現在のスーパースポーツ市場においても十分な説得力を持つもの。GT2とのパワー差は実に90馬力もあるのだ。
991型、そして最新の992型にもGT3のラインアップはある。991の後期型ではGT2RSも加わり、ついにその最高出力は700馬力に。
一方現行シリーズのベースモデルたるカレラとて、370馬力もの最高出力を発揮しているのだから、これはGTであると同時に、スポーツカーとしての走り、とりわけRRの駆動方式を持つ911特有のスポーティな走りを楽しむには十分なパフォーマンスといえるのではないだろうか。
ポルシェのスーパースポーツとしての進化は、いつまでも終わることはない。911というスポーツカーの発展形を中心にスペシャルなモデルを生み出してきたポルシェの歴史には、確実にスーパーカーが存在している。