この記事をまとめると
■ポルシェにスーパーカーはないといわれることがあるがそれは本当か?
■ポルシェ911シリーズは常にスーパースポーツとして進化を続けてきた
■最新の992型のGT2RSはついに700馬力超のパワーを手に入れている
ポルシェはその歴史のなかでスーパースポーツを生み出してきた
ポルシェには、スーパーカーと呼ぶことができるモデルはないのか。答えは誰もが簡単に予想することができるだろう。それはもちろん「ノー」である。
それはポルシェの象徴的な存在ともいえる911のヒストリーを紐解いても、あるいはそれに並行して、ほぼ10年に1度のペースで誕生したスペシャルモデルともいうべき、904GTS、911カレラRS、959、911GT1、カレラGT、918スパイダーの存在を振り返ってみても明らかだろう。ポルシェはその歴史の中で、確実にスーパーカーといえるスーパースポーツを生み出している。
だがその一方で、ポルシェにスーパーカーのキャラクターを感じない人たちがいるのもまた事実。グローバルな視野でポルシェのプロダクトを見ても、現在そのコアモデルとなっているのはカイエンやマカンといったSUVであるし、とりわけカイエン以降に新たに成長した新興市場においては、ポルシェのスポーツモデルの存在感はきわめて薄いというのが現状である。それもまた、ポルシェのキャラクターがほかのスーパーカーメーカーとやや異なるひとつの理由といえるのではないだろうか。
ポルシェの象徴たる911は、1963年のフランクフルト・ショーで発表されたあとに(この時は901という車名だった)、1965年から販売を開始している。それは356シリーズの後継車であるが、356比では全長と全高ではそのサイズは若干拡大されたものの、全幅はエアロダイナミクスを重視してか大きく狭められている。
そのコンセプトは「高性能で快適な2+2GT」。ポルシェとしては初のモノコック構造を採用し、同時に新設計の水平対向6気筒エンジンも搭載された。911の走りには、当初はGTとしての快適さが最優先されていたとしても、それは間違いではない。
だが、ポルシェはこの1965年式の911(Oシリーズ)を原点に、911の進化を続けていく。その中にはレースやラリー専用の911R、500台の限定生産車であったものの、最終的には1973年に年間1000台の生産をクリアしたために、グループ3のホモロゲーションを得た911カレラRS2.7。1975年にはそれをベースとした911カレラRSRで300馬力の壁を突破することに成功。
ちなみにこの911カレラRSRは、後に3リッター仕様へとマイナーチェンジされ、最高出力は345馬力、重量は900kgを実現している。