タイヤが地面に着かず浮かんでいる! トラックの「謎機構」の正体とは (2/2ページ)

空気圧によって作動させるのが基本

 そのため高速道路を走らないようなトレーラーであってもリフトアクスルのメリットはある。とくに往路は空荷、復路は荷物満載といった使われ方をする場合には、リフトアクスルを採用するメリットは大きい。通常のロジスティクスであれば、できるだけ空荷状態が生まれないような運用を目指すが、木材や鉱物を運搬するような用途では必ず片道は空荷になる。そうしたケースでもリフトアクスルは有効というわけだ。

 またリフトアクスルは車高調整機構と同義といえる機能であるから、荷役環境の改善にも活用できる。荷台の高さを調整することで荷物を積みやすくできるというメリットもある。こうした機構をプラスすることは車両価格を上げてしまうが、トータルで見たときのコストとしては抑えられるということで、選ぶ事業者は多い。

 では、リフトアクスルというのはどのような仕組みになっているのだろうか。

 簡単にいえば、空気の力でアクスル(車軸)を持ち上げるようになっている。空気バネでアクスルを引き上げるタイプ、チャンバーを使ってトレーリングアームを持ち上げるタイプなど構造は複数あるが、いずれにしても空気圧によって作動させることが基本となっている。

 そのため、リフトアクスル機構はエアサスペンションとセットになる。

 荷物を安定して運ぶことができるエアサスペンションは大型トレーラーでは採用しているケースが多く、もともと圧縮空気の配管やシステムを組んでいることがリフトアクスルシステムと親和性が高い。ゼロからリフトアクスルシステムを搭載するよりは、ずっとコストアップの幅が小さいことも、その普及につながっている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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