日産はアリアを使ってカーボンニュートラルを目指す! 自治体向けの脱炭素社会実現支援のための連携を合同発表 (2/2ページ)

地産地消型脱炭素社会の実証実験としてデータを活用

 ふたつ目は、おもに住友三井オートサービスによる展開で、自動車リースにおけるノウハウを活かし、自治体向けの脱炭素化支援サービスとして、地銀や地域に根ざした企業に、DX化による車両管理サービスなどを提案する。

 同社は2010年代初頭の早い段階からEV推進室を設立し、地銀向けのリースとグループ内で100万台以上のEVを保有展開しており、日産にとっては長年のパートナーでもある。よって車両管理のDX化や、導入コストの捻出サポート、車両台数の最適化レポートや、EV導入サポート、シェア含むマネージメントまでノウハウを持つ。

 加えて住友商事はグローバルに環境発電サービスを展開し、デジタルやインフラのソリューション開発や提携にも積極的で、車両サービスと合わせて再生可能エネルギーを軸とする循環型ビジネスの構築を目指している。

 とくに昨今は、気候変動対策が求められ、ESG投資が加速する中、カーボンニュートラルを宣言した自治体数が492、その人口カバー率が全国で1億1200万人を超えているほど。この現状を踏まえ、モビリティ視点における脱炭素化と、地産地消エネルギーによる脱炭素化を、実情に即したカタチで実行していく、それが今回の実証実験のふたつ目の眼目だ。もちろん会津若松市で採られたデータや成立したモデルは今後、日本全国の他自治体、東南アジアの都市などにも輸出されるという。

 3つ目は、日産単独の展開だが、100%の再生可能エネルギーを、まずは従業員向けに販売、つまり自社での電力販売に着手する。もちろん日産のEVとセットで提案できるよう検討中で、バッテリーのリユース&リサイクル事業を手がける4Rエナジーや、二次電池によるスマートグリッド技術なども組み合わされるだろう。

 会津若松市は冬に積雪もあれば、過疎化と住民高齢化の進む地域もあり、その問題は全国的に広く共有されるという。アイクトコンソーシアムの中村彰二朗代表理事は、これまで培ってきた持続可能な街づくり・スマートシティ計画と、産学官と国の一体の取り組みが、「地方から全国、そしてアジア諸国へ」、広く展開する可能性に言及する。

「アイクトコンソーシアムが取り組んできた各種プロジェクトは、人材育成・地元企業の生産性向上と地方創生を旨とする”デジタル田園都市構想”に基づくもの。今回の連携協定は、エネルギー分野、モビリティ分野の社会課題・問題を解決することがミッション。会津から、つまり地方で生まれた技術やビジネスが、全国そしてアジア諸国へと、展開していく可能性に期待します」

 自治体と地方都市を対象に、いまだ限られた範囲での社会実験ではある。事業の合弁ではなく、その前段階でビジネスとしての妥当性を観察するための実証実験で、合弁の可能性は現段階ではなく、今後模索されるものだ。とはいえ、EVのビジネスがクルマ単体の性能や完成度だけではなく、エネルギー供給や使われ方、ものづくりまで含めた循環型モデル、つまりネットワークの中でどう位置づけるか? そんな曲がり角にさしかかっていることを如実に示す発表内容だった。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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