ノイズによってストレスが溜まることも!
3つ目は、先ほどのシートポジションとも関わりますが、血流が悪くなることによる疲れです。スポーツ医学では、指先の高さが心臓よりも高い位置に長く置かれると、血流が悪くなることがわかっているそうです。運転中はどうでしょうか? ハンドルの上のほうを持つクセがついている人は、ずっと心臓よりも高い位置に指先が置かれる状態になりがちですね。ハンドルの9時15分の位置を持った時に、心臓と同じか少し下の位置に指先がくるよう、シートの高さ調整をするのも1つの方法です。
また、こまめな水分補給も血流をよくするために必須。よく、長時間運転だとトイレが近くなることを恐れて、水分を取らないようにする人がいますが、それは間違いです。水分が不足すると血液がドロドロになり、血流が悪くなって老廃物が溜まり、それが神経を圧迫して腰痛などの原因となってしまいます。喉が渇く前に、こまめに水分補給することも、疲れを軽減する対策なのです。
4つ目は、ノイズによる疲れです。クルマに乗っていると、エンジンノイズやロードノイズ、風切り音といったさまざまな騒音がずっと聞こえている状況に置かれます。そうした音を長時間聴いていると、身体の不調を引き起こす原因になることがわかっています。コルチゾールというストレスホルモンが分泌され、血圧を血糖値を上げてしまったり、神経の疲労や、集中力の低下、イライラするといったことが起こりやすいと言われています。
自分では騒音だと感じていなくても、その音に負けじと声を張り上げて同乗者と喋ったり、音楽を大きな音でかけたりすることがまた、疲労を引き起こすとのこと。人間は五感から得られる多くの情報を脳で処理しており、それが続くことで疲労が蓄積されていくのでしょう。やはり、2時間に1回程度は休憩をとり、無音の中で脳を休めてあげることが疲労を溜めない秘訣と言えそうです。
5つ目は、振動からくる疲れです。チェーンソーなど大きな振動を伴う工具を長時間使い続けることで生じる振動障害という症状があります。重機やトラックなどの大きな振動でも、そのメカニズムは解明されていないようですが、明らかに疲労に影響を及ぼすことはわかっており、乗用車でも長時間運転になると、少なからず影響はあると言えそうです。平らに見える路面でもあちこちにギャップやアンジュレーションはあるので、スポーツ走行に特化した硬いサスペンションなどで、長距離ドライブをするととくに疲れを感じることがあるのもそのためでしょう。
基本的には、速度が上がるほど振動も大きくなっていくものなので、速度を控えめにして振動を抑えたり、やはり休憩をこまめに取るのが疲労を蓄積させない秘訣です。
ということで、長距離運転で感じる疲労の原因と、その対策をご紹介しました。ウエストをきつく締め付ける洋服やベルトなどを避け、なるべくゆったりとリラックスできる服装を心がけるのも有効です。さまざまな対策をとりながら、安全に快適に長距離ドライブを楽しんでくださいね。