スバルは軽自動車をやめて水平対向エンジンに集中
軽自動車の開発と生産から撤退したスバルの商品企画担当者は、以下のように述べている。「スバルが軽自動車の開発と生産から撤退して、残念に思われるお客様が多いのは、とても有り難いことだ。それでもスバルは軽自動車をOEMに切り替えたことで、水平対向エンジンに集中できるようになった。経営的には大きなメリットがあった」。
マツダやスバルがミニバンや軽自動車から撤退した2つ目の理由は、これらのカテゴリーが両社のブランドイメージに合わないことだ。
マツダでは、以前はミニバンのプレマシーやビアンテ、背の高いコンパクトカーのベリーサなどを開発/生産していたが、今は扱っていない。2012年に先代CX-5と現行マツダ6(当初はアテンザ)を発売してからのマツダ車は、OEM車を除くと、魂動デザインとスカイアクティブ技術に基づくカッコ良くて運転の楽しいクルマ作りをコンセプトにしているからだ。高重心のミニバンや背の高いコンパクトカーは、新しいマツダのコンセプトに合わないと判断された。
スバルも同様だ。以前は水平対向エンジンを搭載する3列シートのエクシーガを設定したが、外観がワゴン風でスライドドアも装着されず、ミニバンらしさが乏しい。スバルのブランドイメージにも合わず、大幅なマイナーチェンジを実施してSUV風のクロスオーバー7になったものの、結局は廃止された。
両社ともに納得できる事情だが、国内での売れ行きは下がった。マツダは2010年には国内で約22万4000台の新車を販売したが、コロナ禍になる前の2019年は20万4000台であった。2012年以降のマツダは、魂動デザインとスカイアクティブ技術に基づく新型車を国内へ活発に投入したが、2010年の販売実績を下まわっている。
スバルは2010年に国内で約17万7000台の新車を販売したが、2019年は約13万1000台だ。マツダ、スバルともに売れ筋の価格帯は高まったが、販売台数は減ってしまった。