名車を自らの手で現代的に蘇らせるイーコナシリーズ
フェラーリの“Icona(イーコナ)”と呼ばれるシリーズは、まさしくそういうクルマたち。イタリア語のIconaを英訳すれば、Icon(アイコン)。歴史的なレーシングカーを中心としたフェラーリのアイコニックな名車をモチーフにしながらも新たに解釈しなおしながらスタイリングし、企画がスタートした時点で使うことのできる最新の技術や素材をふんだんに盛り込んでまったく新しいスーパースポーツカーを開発する。何かベースになるモデルがあって、それをモディファイするのとは大きく異なる。真のスペチアーレ(=スペシャルモデル)なのだ。
最初のプロジェクトは、2018年の”モンツァSP1″と”モンツァSP2″だった。モンツァとはご存じのとおりイタリアの有名なサーキットの名前であり、同時に1950年代のレーシング・フェラーリのいくつかに冠されたネーミングだった。
“モンツァSP1″と”モンツァSP2″は、その750モンツァや860モンツァ、フェラーリ最初期の1台といえる166MMといったフロントエンジンのバルケッタ(=軽量小型のオープンカー)をモチーフにしている。812スーパーファストの軽くチューンナップしたエンジンをオールカーボン製のボディと組み合わせた、究極のオープンスポーツカーといえる存在だ。
モンツァSP1とモンツァSP2はシングルシーターか2シーターかの違いだが、生産台数は合わせて499台。そしてデイトナSP3は599台。モンツァのときもそうだったが、フェラーリの限定モデルが常にそうであるように、もちろん正式発表されたときには売り切れていたようだ。
最初のIconaと今回のIconaの間には、3年の時間がある。Iconaは今後も継続して企画されていくシリーズだと思われるが、さて、次のモデルは何をモチーフにし、どんなクルマとなり、いつデビューを果たすのか。デイトナSP3が登場したばかりだというのに、今から楽しみである。