最高落札価格は衝撃の「54億円超」のフェラーリ! 一般人には理解不能なオークションの世界とは (2/2ページ)

レースでの記録や有名人オーナーなどで価格は大きく変動する

 なぜフェラーリ250GTOはここまで落札価格が高騰するのか。それはまずフェラーリというブランドの持つ圧倒的なバリュー、さらにそのなかでもそれを象徴するわずかに36台が生産されたのみの、そして当時の国際マニファクチャラーズ選手権のGTクラスにおける戦績にも人気の理由がある。

 250GTOは1962年と1963年の両年に生産されるが、1964年にはスタイルを大きく改良した進化型、250GTO64も誕生。当時のホモロゲーションでは、連続した12か月に100台以上の生産が必要とされていたが、この一連の250GTOシリーズは、あくまでも前身となった250GTO SWBの正常進化型という扱いだったのだ。

 高額な自動車の落札価格は、その時点での経済状態を大きく反映する。たとえば前で紹介した50億円オーバーで落札された250GTOも、その前にオークションに登場した2000年1月での落札価格は約8億4000万円にとどまっているし(それでも十分に恐ろしい金額だが)、フェラーリではほかに、250GT SWBや275GTB/4のアルミニウムボディ、250テスタロッサなども常にスーパーリッチからの熱い視線を集めるモデルとなっている。車両のコンディションはもちろん、レースでのリザルトや、前オーナーが有名人であったかなどの要素でも落札価格は動く。

 そして、ここ数年のオークション・シーンでフェラーリの価格高騰を招いているもうひとつの重要な要素が、同社のクラッシック部門である、フェラーリ・クラシケによる認定やレストア作業だ。クラシケからの認定書は、いわばそれは正真正銘、マラネロから出荷された時と同じスペックを持つ本物であることを示すもの。それによって、そしてオークショネアの伝統と信頼によって、買い手は安心して出品車に入札ができるというわけなのだ。最近のコロナ渦で行われたオンライン・オークションも、これらの安心材料がなければ決して成功することはなかっただろう。

 オークションの落札価格で上位にランクされるのは、もちろんフェラーリだけではない。デューセンバーグやシェルビー、そしてメルセデス・ベンツといったブランドも常に注目を集めているし、アストンマーティンやマクラーレンF1、そしてポルシェ、ランボルギーニ等々もオークション・シーンでは常に大きな話題となる。

 一方日本車はというと、一番人気なのはランドクルーザー・シリーズ。ここ数年での価格の上昇は、これからも続きそうな気配だ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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