この記事をまとめると
◼︎スーパーチャージャーを採用したクルマを紹介
◼︎大きなレイアウト変更が不要だったのでスポーツカーのほか商用車でも重宝された
◼︎80年代〜90年代のクルマに多く採用されていたが今でも生き残っている
パワーとレスポンスの良さを両立させたいいとこ取りなシステム
1990年代、日本では「スーチャー」ことスーパーチャージャーがブームになっていた。クランク出力を使ってブロワーやコンプレッサーを回してエンジンに吸気を送るという仕組みは、エンジン出力のロスにはなるが、ターボチャージャーに比べてレスポンスに優れるということで採用するメーカーも多かった。
ターボチャージャーの性能向上によるレスポンスアップや低速域でのモーターアシストが効くハイブリッドの普及によって、いつの間にか国産車からスーパーチャージャー搭載車は消えてしまったかに見える。スーチャーによって輝いたモデルを振り返ってみよう。
1)日産ノート(E12)
先ごろ2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた「日産ノート」は、現行型になってシリーズハイブリッドのe-POWER専用モデルとなることでコンパクトカーとして高いレベルの走行性能と燃費性能を両立していることが評価ポイントのひとつと言われている。
そんなe-POWERがノートに初搭載されたのは、ご存じのように先代モデルの途中から。じつは先代ノートの初期モデルでは、スーパーチャージャーと3気筒エンジンを組み合わせたDIG-Sがシンボル的なグレードだった。電磁クラッチによりスーパーチャージャーの駆動を積極的にコントロールすることで低速トルクと燃費を両立するという狙いはe-POWERにも通じるもので、ダウンサイジングターボに対する日産のアンチテーゼとして玄人筋の評価は高かった。
だからこそ、e-POWERというハイブリッドシステムが登場したことで、スーパーチャージャーは退場を余儀なくされたのかもしれない。
2)トヨタ・エスティマ
さて、1990年代の国産スーパーチャージャーブームのなかで、全車スーパーチャージャーとなっていたのがトヨタ・エスティマ(初代)だ。といっても最後期版に限った話だが。
エスティマの場合、ミッドシップに4気筒エンジンを傾けて搭載するという独自のパッケージによりエンジンの大型化が難しく、また吸排気のレイアウトからスーパーチャージャーが最適ということになったと記憶している。
ターボチャージャーの追加設定と異なり、触媒などのレイアウトはそのままにスーパーチャージャーを装着可能というメリットを感じさせたのが、メーカーチューンといえるエスティマのスーパーチャージャー車だった。